あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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奇跡のシンフォニー

2007 アメリカ 洋画 ドラマ ファンタジー
作品のイメージ:ほのぼの、癒される、かわいい、スゴイ
出演:フレディ・ハイモア、ジョナサン・リース=マイヤーズ、ケリー・ラッセル、ロビン・ウィリアムズ

音楽とマンハッタンの風景が楽しめるファンタジー。いろんなジャンルの音楽が融合された一篇。両親を探すために施設を抜け出した少年(フレディ・ハイモア)が、マンハッタンに辿り着く。そこで、さまざまな人と出会いながら、自らの音楽の才能を開花させ、そして最後には・・。あり得ないと言ってしまえばそれまでだが、素直に観ると心が温まる。

「音楽は人と人を結びつける」や「耳を澄ませばいろんな音が音楽に聴こえる」という言葉も印象に残る。本作を通して、音楽ってすばらしいなぁ(月並みな表現ですが)・・と再認識。個人的には、女の子が教会で歌うゴスペルと、お互い親子と知らぬ父と子が公園で演奏するギター・デュオが特に好き。ラストは誰もが予想できるベタな感じもするが、それすらも「映画の良さ」として肯定できてしまうほど。後味もスッキリしているし、何より観る者を優しい気持にさせてくれる。一つだけ難点を挙げるとすれば、ロビン・ウィリアムズの役がもう少し良い役だったらよかったのに・・という点。でも、ロビン・ウィリアムズ自身の気立ての良さが目の表情からにじみ出ていた。

本作は、アメリカでは期待していたほど興行収入は稼げなかったようだが、日本では結構人気が高いみたい(日本人受けする内容ですね)。サントラは輸入盤に加えて国内盤も出ているよう。サントラの購入も考えたが、やはりこの音楽は映像とセットで楽しむものなのかなぁ・・という気がする。この音楽が聴きたくなったら、またDVDを観るものよいかなと。あと、(どーでもよいことですが)チャプターを選択するポインターが、ト音記号になっているのがカワイイ。★3.2
ディア マイ ファーザー

2007 オーストラリア 洋画 ドラマ
作品のイメージ:かわいい、切ない
出演:エリック・バナ、フランカ・ポテンテ、コディ・スミット=マクフィー、マートン・ソーカス

オーストラリアの作家であり哲学者でもあるレイモンド・ガイタの自伝(ヴィクトリア州首相文学賞受賞)を映画化した作品。1960年代にドイツからオーストラリアに移住してきた一家の様子を、子供であるレイモンド(コディ・スミットマクフィ―)の視点で描いている。父親であるロミュラス(エリック・バナ)とレイモンドの父子の関係が、青い空と濃い緑で覆われたオーストラリアの大地に映える。そして、住み慣れない土地での生活から両親に走った亀裂を必死に埋めようとする幼いレイモンド・・その姿が愛おしく感じられる。

レイモンドの可愛いこと、可愛いこと。そして、健気。大人の複雑な事情からくるシワ寄せを一手に被り、それでも両親を思い、父親の違う妹の面倒を見るレイモンドには、心を打たれた。ホントによく出来た子供。息子(レイモンド)の誕生日もろくに覚えていない母親への気遣いまでする(でも、母親は精神的に不安定で、薬を服用しているようですね)。

オーストラリアの雄大な景色の中に、移住してきた人々の生活が精彩に描かれている。「アメリカでは、こんな便利なものがあるんだって」なんて愚痴をこぼすセリフなんかも入っていて、当時の人々の生活の厳しさが窺える。全体の印象としては、読み応えのある一冊の本を淡いトーンで映像化したような感じで、観た後はある種の充足感が得られた。

なお、本作はオーストラリア映画協会(Australian Film Institute)の「作品賞」を受賞。エリック・バナは「主演男優賞」、コディ・スミットマクフィーは「新人賞」を受賞している。エリック・バナは「ブーリン家の姉妹」での演技が楽しみ(まだ劇場で観れるかな・・劇場で観れなかった場合には、DVDで観ます)。あと、レイモンドが連れていた犬とオウムが妙に気になった(実際飼っていたペットでしょうか)。★3.3
ナンバー23

2007 アメリカ 洋画 ミステリー・サスペンス
作品のイメージ:ドキドキ・ハラハラ、ためになる
出演:ジム・キャリー、ヴァージニア・マドセン、ローガン・ラーマン、ダニー・ヒューストン

本作は、ミステリーではなく完全なサイコ・サスペンス。妻から「ナンバー23」という本をプレゼントされたウォルター(ジム・キャリー)。その本を読んでいくうちに、ウォルターもその本の主人公と同様に「23」という番号に執着し始める。まず、ウォルターの誕生日が2月3日。それに始まり、5という数字を「2+3」と解析したり、32という数字を「23」の逆と関連付けたり、ほとんど「こじつけ」の世界。後半になれば、この辺りも納得できるのだが、観ている側としてはいい加減飽きてくる。

サイコ・サスペンスとして扱った題材自体は、かなり面白い。プロットも凝っている。妄想や強迫などのパラノイア的要素をオカルトな視覚的効果で膨らませている演出の手腕もすごい。狂気の世界に引きずり込まれるジム・キャリーの演技もなかなかのもの(ラジー賞受賞・・?意外です。この役柄がイメージに合ってないから?個人的には、こういうジム・キャリーも見ることができて良かったんですけど)。

「何かにこだわってしまう」「何かと何かを関連付けてしまう」などの人間の思い込みの激しさや錯覚を描いたものとして心理学的な視点から見ると、レベルの高い作品ではないか。本を読んでいて自分と似たような体験が書いてあったり、人が自分に思い当たる節を言って、「もしかして自分のこと?」とふと思ってしまうことは、誰にでもある。それが高じて、その世界にはまり込んでしまうと・・?そんな疑似体験が、この作品を通じて出来たよう。犬は妄想世界への誘引因子かなと。最後は如何にもハリウッド的な持っていき方という感じ(もちろん良い意味で・・なんとなくホッとさせてくれます)。

本作はジョエル・シューマカー監督がメガホンをとった作品の23作目になるのだとか。遇然・・?それを記念してということであれば、自画自賛みたいな気が。★3.4
愛おしき隣人

2007 スウェーデン, フランス, デンマーク, ドイツ, ノルウェー, 日本 洋画 ドラマ コメディ
作品のイメージ:笑える、ほのぼの
出演:ジェシカ・ルンドベリ 、エリック・ベックマン、エリザベート・ヘランダー、ビヨルン・エングルンド

北欧のとある町の人々の日常を描いたコメディー。万人受けしないことは予想できたのである程度覚悟して観たのだが、独特の毒気に当てられたというか、あまりの意味不明さに圧倒されたというか・・。この奇妙な感覚を一言で表現するのが難しい。悪趣味とブラック・ユーモアの紙一重の線をなぞっているようでもあり、人間賛歌と呼ぶには抵抗がある。(スウェーデン大使館とスカンジナビア政府観光局が後援している割には、品位を疑うシーンもあります)。

しかし、暖かな目線で人々の様子を描いていることは間違いない。同じジャンルに入るシニカル・コメディ「マーゴット・ウェディング」では人々の会話から冷やかな笑いを誘う演出になっているのに対し、本作では微妙な「間」と人々の表情の滑稽さから思わず吹き出す笑いを狙っているよう。

作品の造りとしては、四コマ漫画をオムニバス形式で繋げたような感じ。「ツイテナイ」と嘆く人たちへの励ましともとれるモチーフがいろいろ出てくる。パブのおやじさんが、毎晩ラスト・オーダーの鐘を鳴らす度に「明日があるから」と人々を元気づける。また、明るい気分にしてくれる音楽が始終流れている。シュールな基調にほのかな希望を感じさせる淡い光が当たって、全体的に楽天的な色調となっている。それが、霧がかかったような北欧の町の雰囲気と絶妙に合う。そして、いろんな解釈ができるエンディング・・作品に幅を持たせているといった感じで、「こういう終わり方もありかな」くらいで面白い。

個人的には、北欧には行ったことがないので、町の様子や人々の暮らしに触れることができて観て損はなかった。しかし、簡単に人におススメできる作品ではない。1時間半という短い作品なので、敢えて不可思議な世界に浸ってみようという気概のある方は、ぜひどうぞ(珍味を一口味わってみる体験として、いかがでしょうか)。★3.0
ラスト、コーション

2007 アメリカ, 中国, 台湾, 香港 洋画 ラブロマンス ミステリー・サスペンス
作品のイメージ:切ない、ドキドキ・ハラハラ、おしゃれ
出演:トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン

時代は第二次世界大戦中。日本軍による占領下、抗日運動に参加するワン(タン・ウェイ)は、運動弾圧側の組織のトップであるイー(トニー・レオン)に工作員として近づく。そして、イーを誘惑することに成功したものの、ワン自身が影のある男イーに徐々に魅かれていってしまうというストーリー。前半のプロットは、「ブラックブック」に似ていると思って鑑賞。また、贅沢な映像美、そして社交の催しとして麻雀のシーンがよく出てくる点では、「ジョイ・ラック・クラブ」を思い出させるものがある。麻雀卓で交わされる会話から、それぞれの女性の心の中が見え隠れするよう。しかし、「ブラックブック」よりも濃密な演出、そして「ジョイ・ラック・クラブ」よりも深い色合いの映像が際立つ。

ワンの心情の変化が彼女の一挙一動から感じ取れるように、緻密に描写されている。それに、純真な乙女から成熟した女性に変化していく過程が映像に刻みつけられているようだ。タン・ウェイって独特の魅力がある女優さん・・1万人のオーディションで選ばれたのだとか。どことなく、永作博美の面影が。彼女の目の表情に注目・・本当に「目は心の窓」。レジスタンスのリーダーであるクァン(ワン・リーホン)にキスをされ、「3年前にキスをしていてくれたら・・」というセリフには、女性の気持ちが正直に表れているなぁ・・なんて。

かたや、トニー・レオンは、堂々とした演技力を披露しているといった感じ。ワンが「天涯歌女」を踊りながら歌うのを慈しむように見つめるイーの表情からは、トニー・レオンのいぶし銀のような年相応の色香が零れ落ちるよう(余談になりますが、なんか最近見た顔だなと思ったら、なんと劇場で観たジョン・ウー監督の「レッドクリフ -Part I-」にも出演していた・・印象がまるっきり違うので、今気がつきました)。

琵琶の弾き語りのような演奏で、「蘇州評弾(そしゅうひょうだん)」というのが出てくる。中国の演芸で、三国志などの有名な物語を琵琶や小三弦の音に合わせて唄うもの。また、上海と香港の風景は所々CGのようだが、当時の様子を伺い知ることができる。尖沙咀(Tsim Sha Tsui)や影灣園(The Repulse Bay・・海岸のシーンはここを想定しているのと思いますが、実際のロケ地は違うのかも)は、香港好きの私には堪らない。R-18指定ということで性描写が露骨なシーンもあるが(中盤に出てくる暴力的な性交渉のシーンは、あまり感心しないものでした)、どちらかというと美しい風景や音楽の方が印象に残る。あと、抗日運動という作品のパーツだけではなく、作品全体も非親日的な感じはする(本質的にそれに焦点を当てているわけではないので、あまり気にはなりませんが)。

総じて、予想通り(だが、予想を超えない範囲で)上級な質感のある作品ということで、★4.0。
ソフィー・マルソーの過去から来た女

2007 フランス 洋画 ミステリー・サスペンス アクション
作品のイメージ:ドキドキ・ハラハラ、おしゃれ
出演:ソフィー・マルソー、クリストファー・ランバート、サイモン・アブカリアン、ロベール・オッセン、ニコラ・ブリアンソン

ソフィー・マルソーが監督・主演で、脚本も本人が手掛けている作品。「女流ヒッチコック」という「うたい文句」なのだが、火曜サスペンス劇場に毛が生えたようなドラマ・・くらいの期待度で観た方がよいかもしれない。

36年前に死んだはずの女性が甦る・・?という幕開けは、ミステリー・ファンの心はつかめる。テンポも速い。しかし、児童虐待などのいろいろな要素を詰め込みすぎて、作品的には「一生懸命パッチワークを繋げました」みたいな印象が拭えない。その結果、あまり深みはなく、特に序盤は分かりづらい浅いドラマに仕上がってしまっている。

ヴィクトリアと名乗る女性(ソフィー・マルソー)からホテルの経営者失踪事件の調査を依頼されるパリ市警の刑事ジャック(クリストファー・ランバート)。しかし、ホテルに向かったジャックは、そこで36年前に交通事故で死亡した女優の写真を見つける。その写真に写っていたのは、なんとヴィクトリアだったのだ。ジャックは、ヴィクトリアの魅力に翻弄されながら、事件の謎を追い封印された過去の秘密に迫っていく、といったストーリー。

しかも、ジャックは妻クロエの死のショックから、記憶障害を患っている・・という要素も入っている。なので、中盤はサイコ・サスペンスで彼の妄想・・?と思いきや、その期待をよそに思いっきりミステリーだった。いっそのこと、余分な要素を除いてしまってすっきりした脚本に仕上げ、上質のミステリーに持っていけばよいのに。「2008年フランス映画祭」のオープニング作品として絶賛を浴びたそうだが、私個人としては、ソフィー・マルソーのファンの方にはおススメ、そうでない方には彼女の初監督作品であるという話題の種にいかがでしょうか・・という程度の推奨度。★2.6
4ヶ月、3週と2日

2007 ルーマニア 洋画 ドラマ
出演:アナマリア・マリンカ、ローラ・ヴァシリウ、ヴラド・イヴァノフ、ルミニツァ・ゲオルジウ

果てしなく訳のわからない作品。当時のルーマニアでは中絶手術は違法という状況下で、オティリアがルームメイトのガビツァの中絶手術を手助けするといったストーリー。堕胎した胎児や堕胎のプロセスなど、見たくないものや聞きたくないことで観る者に強烈なショックを与えておきながら、そのショック以上の意味なんて何も無い。チャウシェスク独裁政権という社会的背景も全く関係ない。最後まで我慢して観たが、ただただガビツァに怒りを感じただけ。

何も清廉潔白でいろとは言わない。誰しも過ちを犯す。しかし、しかしである。自分の行動は、自分で責任をとってほしい!周りの人間をこれだけ巻き込んでおきながら「お腹がペコペコ」と言って一人でレストランにいた彼女は、いったいどういう神経をしているのか。どうせなら、オティリアが怒りを爆発させて終幕してほしかった。

それに、音楽が無いのは想定範囲内だが、全体として無駄な会話や無駄な沈黙の時間が多すぎる。これをリアリズムと呼んだらフローベールが泣くであろう。劇場で観なかったことが、せめてもの救いだ。劇場で観ていたら、チケット代をキャッシュバックしてほしいところであった。★0.3
アイム・ノット・ゼア

2007 アメリカ 洋画 ドラマ 伝記
作品のイメージ:カッコいい、スゴイ、ためになる
出演:クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、ヒース・レジャー、リチャード・ギア

ボブ・ディランの6つの顔を6人の俳優が演じているという風変わりな作品。バイオグラフィーであり、監督のディランへの思い入れが強烈に感じられるという点ではディランのオマージュでもある。「世の中は変えられるのか」という普遍的テーマにこだわり、「自分はフォーク・シンガーでもロック・シンガーでもない」と主張したディラン。その存在自体が社会的メッセージを発信しているディランの多面的人物像が、精巧に描出された時代背景から鮮烈かつ多様に浮き上がっているといった感じ。

豪華なキャスト、ディランの音楽に浸れる、という点では高い点数を入れたい。但し、

―熱狂的なファンでなければ、ついていけないところが多い
―6人の人物がディランの役名で演じられているわけではない
―時系列に展開されているわけではない(時間的にだけでなく、空間的にも入り混ざった感じ)

なので、誰がどの役かを、予め知っておくと観やすい(下記ご参考に供します):

放浪者(子供時代)であるウディ:マーカス・カール・フランクリン
詩人であるアルチュール(ナレーター的な役):ベン・ウィショー
革命家&プロテスト・シンガーであるジャック/牧師&ゴスペル・シンガーのジョン:クリスチャン・ベイル
映画スターであるロビー:ヒース・レジャー
フォークからロックへの転向期のシンガーであるジュード:ケイト・ブランシェット
米国西部開拓時代の無法者(老年時代)であるビリー:リチャード・ギア

それに、ジャックの元恋人&シンガーソング・ライター役で、ジュリアン・ムーアも出ている。マーカス・カール・フランクリンがかわいい。ベン・ウィショーって、あの「パフューム・ある人殺しの物語」の主役・・全く印象が違う。クリスチャン・ベイルは一人二役なので、正確にはディランの7つの顔ということになるのか。ヒース・レジャーにとっては、存命中に公開された最後の作品になる(「ダークナイト」が遺作?いや、「パルナッサス博士の想像力」が?・・ご冥福をお祈りいたします)。本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたケイト・ブランシェットの演技には、今まで以上に安心して観ていられる揺るぎのないパワーを感じた。リチャード・ギアは、ちょっと影が薄い。かつて発していたオーラは何処へ。

それにしても、全体としてマニアックで難解な作品だったなぁ。★3.3
アメリカン・ギャングスター

2007 アメリカ 洋画 ドラマ ギャング・マフィア
作品のイメージ:カッコいい、スゴイ
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キウェテル・イジョフォー、ジョシュ・ブローリン

実話をもとにしたストーリーという点で「ゾディアック」に似たタッチで描かれたクライム・ドラマ。リドリー・スコット監督にラッセル・クロウとくれば、期待が大きく膨らむ。その期待度に対する満足度は、64点くらい(なので、★3.2)。

まず長い(収録時間はほぼ同じものの、「グラディエーター」はあまり長さを感じなかったが)、それにデンゼル・ワシントンの存在感が強すぎてラッセル・クロウがかすみ気味(ラッセル・クロウのファンとしては、もう少し頑張ってほしかった)、というところが期待外れ。確かに、デンゼル・ワシントンは、今回悪役だけどカッコいい(と認めざるを得ません)。デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウは、確か「バーチュオシティ」でも共演していたので、本作が初顔合わせではないはず。

ベトナム戦争の軍用機を利用して東南アジアの生産者から高純度のヘロインを直接買い付け安価で売り捌くビジネスで大儲けするフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)を、麻薬捜査官のリッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)が追いつめる前半。そして、今度は検察官のライセンスも取得したリッチーが、検挙したフランクと協力して汚職警官を摘発していく後半。時代背景を詰め込み過ぎて膨張した前半が頭でっかちになり、二人がいきなり連携するという後半があまりにも唐突な感じが。

その後、リッチーは弁護士としてもフランクの刑期を縮めるのに貢献する・・というのであれば、エンドロール後の一瞬のカットはナンセンス。意味ありげなカットをわざわざ入れることによって、後半のリッチーとフランクの奇妙な信頼関係との矛盾が発生してしまっている。

70年代のアメリカの裏社会をリアルに表現したかった監督の意図は、理解できる。作品の全体のバランスをもう少し工夫して脚本を練り直せば、二大スターの起用が活きた重量感あるドラマに仕上がったのに・・ちょっと惜しい!
マーゴット・ウェディング

2007 アメリカ 洋画 ドラマ コメディ
作品のイメージ:笑える
出演:ニコール・キッドマン、ジャック・ブラック、ジェニファー・ジェイソン・リー、ジョン・タートゥーロー

決して、心温まるコメディーではない。でも、確かにコメディーだ。まるで漱石の「吾輩は猫である」の欧米現代版のように、登場する大人全員を皮肉たっぷりに描写している。ギャグやドタバタで笑いに持っていくのではなく、観る者を間髪なく冷笑させるような脚本。傑作とまでは思わないし、万人受けしないことは間違いない。しかし、個人的には、こういった路線の作品は嫌いではない。

マーゴット(ニコール・キッドマン)が妹ポーリン(JJ・リー)の結婚式に出席するために息子のクロードを連れて実家へ向うところから、ストーリーは始まる。マーゴット自身の結婚式だと誤解されるかもしれない邦題だが、実際は”Margot at the Wedding”(結婚式に出席するマーゴット)。内容は、実家に集まった大人たちの人間模様を思春期の子供たちの目線で淡々と風刺している、といった感じ。なので、観る者が主人公マーゴットへ感情移入することを狙った作品ではない。

音楽は無いし、テンポも相当速い。笑い逃さないように(?)ついていくのが、息切れするほど。さっと流すような速さで会話が進んでいくところが、奇妙な可笑しさを誘っている。また、低いトーンでの会話、大真面目な表情・・それがかえって滑稽な味を出している。マーゴットが木に登ったものの降りて来れなくなるシーンや、木がテントに倒れるシーンも、センスがあって面白い。そして、強烈に屈折したラスト・・その余韻に浸るのも悪くない。★3.4

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