あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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ランド・オブ・ウーマン/優しい雨の降る街で

2006 アメリカ 洋画 ラブロマンス ドラマ
作品のイメージ:ほのぼの、切ない、おしゃれ
出演:アダム・ブロディ、クリステン・スチュワート、メグ・ライアン、オリンピア・デュカキス、マッケンジー・ヴェガ

内容も然ることながら、美しい映像と音楽に魅せられた作品。雄大な景色というわけではないが、日常の中にあるものが色彩豊かに撮られている。カーテンの柄、花が咲き乱れる庭、登場人物のカジュアルな服装などなど・・何気ないものの美しさが、映像の随所に感じられる。音楽も秀逸。サントラの購入も検討中(輸入盤しかないようですが)。

ストーリーは、ジャケットのイメージとは違い、地味なドラマ。しかし、その地味さの中にも緩やかな温かみが感じられる。新進の脚本家カーター(アダム・ブロディ)は、祖母の面倒を見るためにミシガン州の郊外の町へと引っ越す。そして、その町で美しい母娘(メグ・ライアン/クリステン・スチュワート)と出会う。カーターと祖母、カーターと隣人母娘の「心の対話」を描いたもののように思う。

メグ・ライアンは、こういう落ち着いた役が似合うようになってきた。クリステン・スチュワートは初めて見るが、カメラ映えする「きれいな子」という感じ。「The OCオー・シー」シリーズや「Mr.&Mrs.スミス」にも出演しているアダム・ブロディは、この作品でも好印象。

全体として、単調なリズムが少し気になるところではあるが、観て後悔しないというレベルには達している(ゆったりとした時間を過ごしたいときに、映像や音楽も含めて、しみじみと味わえる一篇です)。★2.8
スノー・エンジェル

2006 アメリカ 洋画 ドラマ
作品のイメージ:切ない
出演:ケイト・ベッキンセール、サム・ロックウェル、マイケル・アンガラーノ、オリビア・サールビー

何とも暗く重たい作品。特に序盤は、脚本のせいかストーリーに引き込まれる感じがしなかった。あと、登場人物が始終イライラしたり怒鳴り合ったりしているのが、観る側にしてみればちょっとウンザリ(高校生二人が一緒にいる時の明るさだけが、妙に浮き気味のような)。しかし、それなりの感慨は覚えた。「人間の罪はどうあがなわれるべきか」的なところがテーマになっているのだと思う。宗教的な説明要因があまり無いので(不勉強な私には)、わかり辛い部分もあったが。アニー(ケイト・ベッキンセール)の夫グレン(サム・ロックウェル)がアニーの足を洗うシーンも、おそらくキリスト教の意味合いがあるのだろう(「イエス・キリストが弟子の足を洗う」のになぞらえているのか)。

人間の日常にカメラが肉薄するような感じで描かれていて、人間関係が崩壊していく様子はかなりきっちり見て取れる。タイトルの「スノーエンジェル」=「新雪の上につけた人型」は、いかにも人間の姿をリアルに描いたものを表しているようで良い(何故複数形のまま邦題にしなかったのかよくわかりませんが)。ケイト・ベッキンセールもサム・ロックウェルも、一生懸命演技しているのが伝わってくる。残念ながら印象に残るほどのドラマではないが、アメリカ北部の田舎町の雪景色とドラマの内容が相まって、冷たさが心に沁みてくるような感覚を味わった。★2.6
譜めくりの女

2006 フランス 洋画 ドラマ ミステリー・サスペンス
作品のイメージ:怖い、ためになる
出演:カトリーヌ・フロ、デボラ・フランソワ、アントワーヌ・マルティンシウ、パスカル・グレゴニー

ハリウッド映画にはあまりない陰湿な復讐劇。精肉屋の娘メラニー(デボラ・フランソワ)は少女の頃にピアニストを目指してコンセルヴァトワール(パリ国立高等音楽・舞踊学校)の実技試験の入試を受けるも、審査員の一人であるアリアーヌ(カトリーヌ・フロ)の無神経な態度に動揺して演奏がボロボロになり不合格となる。それで、メラニーは自分の夢を封印することに。そして、アリアーヌに近づき・・。

うーん、自分に実力がなくて合格できなかったのだから、しょうがないと思うのだが。それで、審査員を逆恨みするのもなぁ。集中力をつけて土壇場に強くなることも、ピアニストとして必要な技能の一つ。それに、あんなに小さい頃に失敗しても、まだまだ修復が効くのに。人生長い目で見れば、良い経験になるかもしれない。それなのに、自分の夢を簡単に諦めて、大切な若い頃の時間を復讐に費やすなんてなんと勿体ない。

というわけで、メラニーにはあまり感情移入ができなかった。逆に、アリアーヌの方に力点を置いて観てしまった。単にページを捲るだけではなく、ピアニストの邪魔にならないように絶妙なタイミングを捉えないといけない「譜めくり」。アリアーヌが信頼できる「譜めくり」に拘る気持ちがよくわかる。それに、助手のようでもあり、演奏者にとっては傍にいてくれるだけで安心する存在なのかな。

審査員と志願者、そして、ピアニストと「譜めくり」の関係・・世の中にそういう関係って多いと思う。会社であれば、上司と部下もそれの一つ。お互い信頼関係を築くことが大事なのに、無神経な言動で相手を傷つけていていることもあるかもしれない。それで、復讐されているのに、そのことにすら気がつかないでいるなんて怖すぎ。

作品全体の印象としては、淡々としているがゾっとする感じ。背景に流れる音楽は、主に静かで水の流れを思わせるようなピアノ曲。それが、メラニーの無表情さと人をじっと見据えるような視線と相まって不気味さを相乗的に膨らませている。試験に向けて練習している他の子のピアノの蓋を閉じたり、セクハラ行為に及ぶチェロ奏者の足にチェロの先端を突き刺したり・・メラニーの執念深さを表す伏線もちゃんと張ってある。冒頭に、精肉する過程で思いっきり肉をたたき切る映像が一瞬出てくるのだが、それも何か意味があるのかなぁ・・ゾゾっ!

どんなところで人の恨みを買っているかわからないので、気をつけなきゃ・・ということと、復讐に時間と労力をかけるのは無駄じゃないかなぁ・・ということを再認識させられたということで、「怖く」もあり「ためになる」作品でもあった。★3.2
幻影師 アイゼンハイム
2006 アメリカ, チェコ 洋画 ミステリー・サスペンス
作品のイメージ:スゴイ
出演:エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティ、ジェシカ・ビール、ルーファス・シーウェル

オーストリア大使館後援だけあって、ウィーンの風景は堪能できるし音楽もよい。芸術品としては特級クラス。まろやかな味の高級チョコみたいな作品。CGだとわかっていても序盤のマジックはセロのステージを観ているみたいで楽しめるし、アカデミー賞の撮影賞にノミネートされたというのも頷ける。

重要なアイテムとなる「エクスカリバー」とは、アーサー王物語に登場する聖剣で、「乙女から授けられた剣」もしくは「岩に刺さった剣」のことだとか。このアイテムについては、なるほど・・という感じ。

作品全体としては、アクが無くソツが無く優等生的。家族でも楽しく観れるし、友達や彼氏/彼女とでも話が盛り上がるであろう。無難な作品なので、劇場公開当時には初デートに「もってこい」だったのかもしれない。難易度の高い作品でもないし、2時間以内にさっくりまとめてくれている(というか、もともと短編小説を映画化したものなので、長くなりようがない)。

でも、映画としてはどうなのか。なぜか、心に迫るものがない。公爵令嬢と幻影師という身分の違いで引き裂かれた愛の悲劇的な演出が足りないのと、最後のオチが中盤で見えてしまうので、作品全体のダイナミズムが委縮されてしまうような印象。

キャスティングも、あまりぱっとしない。ジェシカ・ビール・・華やかさにちょっと欠けるような。また、エドワード・ノートンと言えば、強烈に濃い役柄を期待してしまう。この幻影師の役はノートンでなくてもよいのでは(いや、ノートンでも別に構わないのだが)。やはり、彼はラブロマンスにはあまりしっくりこないのかも。★3.3
恋愛依存症

2006 アメリカ 洋画 ラブロマンス コメディ
作品のイメージ:切ない、カッコいい
出演:アシュレイ・ジャッド、ジェフリー・ドノヴァン、ローラ・プリポン、ダイアン・ラッド

邦題、ジャケットやタグから想像していたイメージとは一味も二味も違った内容であった。低予算という縛りはあるものの、その範囲内で発信した監督のメッセージがぼんやりと伝わってくるような作品。ラブロマンスやコメディというジャンルをはるかに超えたドラマである。

「恋愛」に依存しているというより、お酒を飲んで男性と一夜限りの夜を過ごすこと、つまり「朝帰り」(原題の通り)に依存する主人公ルーシー(アシュレイ・ジャッド)。そんな生活自体はトンデモナイというのが通念。しかし、彼女は何故そんなことに依存するのか・・というところが本作の核になっているという気がする。「朝帰り」が彼女にとって自分自身を開放する手段であったとすれば・・。

人間は何かに依存しないと生きていけない場合があるだろう。人によっては、それがお酒、タバコ、ギャンブルであったりもする。ストレスを発散する対象が、たまたま「良くないこと」であったとしても、それがないと自分の生活が崩壊してしまうとしたら、頭ごなしに非難することはできるだろうか。しかし、その「依存症」のせいで彼女の恋は・・。自業自得ではあるのだが、ちょっぴり切ない。

父親の心配をしながら祖父母の面倒も見るルーシー。「依存症」で心のバランスを取りながらも、精神的に自立した彼女はかえって好感が持てた。自分のしたことには、自分で責任をとる・・そんなヒロインをアシュレイ・ジャッドがサバサバした感じで演じている(アシュレイ・ジャッドの笑顔が素敵!)。

カエルを捕まえて料理するシーンには閉口。あと、ルーシーが四六時中ビールを飲んでいるシーンも減らしてくれたら、もう少しポイントがアップしたかも。★2.9
4分間のピアニスト

2006 ドイツ 洋画 ドラマ 音楽
作品のイメージ:切ない、スゴイ
出演:モニカ・ブライブトロイ、ハンナー・ヘルツシュプルング、スヴェン・ピッピッヒ、ヤスミン・タバタバイ

女性刑務所内でピアノを教える老教師クリューガーは、服役者ジェニーの音楽の才能に惚れ込む。ピアノ音楽を背景に、クリューガーとジェニーの二人の魂の触れ合いが濃密かつ重々しいタッチで描かれたヒューマン・ドラマ。暴力的で心を閉ざしたジェニーだったが、クリューガーにだけは徐々に心を開いていく。本作の主人公はジェニーでありながら、すべてはクリューガーの目線で描出されているところは新鮮味がある。

悲しい過去を引きずるが故に激情的な性格のジェニー。そして、クリューガーもまた重い過去を背負っている。ときおり挿入されるクリューガーの回想とジェニーに打ち明ける後半のシーンで、クリューガーの過去が明らかに。

プロット的には斬新でもなく、脚本も荒削りな感じが否めない。ジェニーの悲しい過去も平坦にしか語られないので、彼女の激情を裏付ける苦悩に共感するまでに至らない。心を打つのは、クリューガーのことば:「どんなに苦しくても人間にはそれぞれに課された使命がある。自分の使命は音楽を教えること。あなた(ジェニー)の使命はピアノを弾くこと」くらい。このことばが結局ジェニーの心を動かし、コンテストへと向かわせることに。

ジェニーが手錠をされたまま後ろ向きに曲を演奏するシーンは、確かに見応えがある。天才なのかもしれないが、演奏ぶりがあまりにも激しすぎて、情感を込めて弾いているというより、自分の激情をそのままピアノにぶつけているといった感じ。コンテストで弾くシューマンの「ピアノ協奏曲イ短調」(この曲自体はすばらしい曲です)も、もう少しピアノへの愛情をもって演奏してほしかった。技術はあってもピアノを弾く心がないと、良い演奏家とは言い難い。

タイトル(「4分間の・・」というのはあまり意味がないような)と予告編を観てかなり期待していたものの、ストーリー、音楽、演出、ビジュアル・エフェクツという観点からおススメの合格水準には及ばずといったところ。★2.4
題名のない子守唄

2006 イタリア 洋画 ドラマ ミステリー・サスペンス
作品のイメージ:感動、泣ける、切ない、ドキドキ・ハラハラ
出演:クセニア・ラパポルト、ミケーレ・プラチド、クラウディア・ジュリーニ、ピエラ・デッリ・エスポスティ

心に突き刺さってくるような作品。衝撃的な過去のシーンで幕を開ける。家政婦として働くイレーナの現在に、過去のフラッシュバックが電光の閃きのように挿入される。前半は、「過去に何があったの?彼女はいったい今何をしようとしているの?」という謎で画面に釘付けになる。

後半は(ネタバレ自粛のためあまり書けませんが)、「私の人生は歩いても歩いても出発点。一歩進むごとにあやまちを犯している。過去を捨てたはずなのに、過去が私を放してくれない」という彼女の過去が、一皮一皮剥がれ落ちるように明らかになっていく。うねるような悲しさ・・痛さに似たものを感じさせる彼女の過去。しかし、彼女の口から全てが語られるわけでないので、パズル・ピースのようなフラッシュバックと現在の彼女の行動を繋ぎ合せて整合する必要がある。

そして、胸が熱くなり涙がこみ上げるエンディング。この仕上がりは、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「マレーナ」にも共通するトルナトーレ監督独自が築き上げているマウンドとも言える。強烈な余韻は、作品が終幕したことの名残惜しさ、主人公への感情移入へと導く計算された究極粒子でもある。

序盤に出てくる「らせん階段」の描写・・これが観る者に、まるで迷宮に迷い込んだような錯覚を与える。「らせん階段」のデザインが、過去の扉が開かれた後から終局へと収束する伏線的アイテムとなっている。また、彼女の部屋にある鉢植え・・何気ないようで実は意味深長なアイテムだか、これはどのような意味合いを持っているのか・・?一つ一つのアイテムからも奥行きが感じられる・・そんなきめの細かいタッチで描かれたスリリングかつミステリアスなドラマ(女性が完全主役となっていますが、男女問わずおススメです)。★4.7
敬愛なるベートーヴェン

2006 イギリス,ハンガリー 洋画 ドラマ
作品のイメージ:感動、切ない、スゴイ
出演:エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グード、ラルフ・ライアック

「アマデウス」のような感じを想像していたのだが、ベートーヴェン(エド・ハリス)と彼の曲を写譜するアンナ(ダイアン・クルーガー)の師弟愛を描いた物語であった。

アンナというのはあくまでも架空の人物・・なのでフィクションということらしいのだが、それでもベートーヴェンはやはり孤高の人であってほしかったなぁ・・というのが正直な感想。それに、エド・ハリスの演じ方がちょっとコミカルすぎでは・・?曲の感じから、人物像も厳粛で重々しいイメージがあるのだが、それがちょっと損なわれているのは残念。

子供の頃ベートーヴェンの伝記を読んで大泣きしたことを、思い出した。「ベートーヴェンは、指揮した後に聴衆から割れんばかりの拍手が起こったが、耳が不自由なために鳴り止まない拍手が聞こえなかった」とかいうくだりだったか・・それがそのまま映像化されているのには感激!また、第九のシーンは、さすがに琴線に触れるものが。それだけに、全体として情熱がたぎるような演出が望まれたところ。

本作でベートーヴェンの交響曲や弦楽四重奏は堪能できたのだが、アンナとの強い絆や愛を盛り立てる曲として、ピアノ・ソナタのもっと情熱的な曲をふんだんに流して欲しかった。(かなり個人的趣味になりますが)、今からリクエストするとすれば、ピアノ・ソナタ第14番≪月光≫の第3楽章とか、ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫の第3楽章とか。

音楽や音楽家を題材にした作品は応援したいので、なんとか★3.5の切り上げ。(余談になりますが、子供の頃本作に似た「ショパン」を題材にした映画を観たことがあり検索してみましたが、見つかりませんでした。DVD化を期待することに。)
ドリームガールズ

2006 アメリカ 洋画 ドラマ 演劇・ミュージカル
作品のイメージ:カッコいい、おしゃれ、スゴイ、ためになる
出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ジェニファー・ハドソン

ビヨンセのファンにはとっておきの作品であり、そうでない方にもおススメできるミュージカル。ビヨンセ、エディ・マーフィやジェイミー・フォックスという豪華キャストに加え、歌良し、美術良し・・と見どころたっぷり。「シカゴ」の脚本を担当したビル・コンドンによってオリジナルのミュージカルが映画化された作品であるが、「シカゴ」以上の出来栄えだと思う。

(ちなみに私はビヨンセ・ファンなので、本作でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジェニファー・ハドソンよりビヨンセに注目したレビューとなっておりますので、ご了承ください。)

カーティス(ジェイミー・フォックス)によって才能を見出された三人娘(ドリーメッツ)の一人、ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)がスターダムに押し上げられていく過程で、どんどん美しく輝いていくのが何より印象的。カーティスの思い通りにスターになっていくディーナだったが、彼女の心の中は・・。ディーナがソロで歌う“Listen”から、彼女の心情が伝わってくる。

ドリーメッツは、かつてダイアナ・ロスが所属したスプリームスがモデルになっているのだとか。でも、ドリーメッツがスプリームスに似ているとは思わないし、ディーナがダイアナ・ロス役だとも思えない。むしろ、ディーナはビヨンセ自身とダブるところがある・・なんて思うのは私だけだろうか。しかし、ビヨンセは本作ではわざと声を抑えて歌ったという。それもカーティスの思い通りに動くディーナを演じてのことなのだろうが。ディーナではなくビヨンセが歌う “Listen”(特典映像にも収録)では、ビヨンセの本来の力強さが加わっているので。

黒人放送局のみで流されていた曲が、すぐに白人によって盗まれてアレンジされてしまう。そんな時代に、黒人放送局を聴く人だけでなく、全世界に向けて R&Bという独自のサウンドを発信すべく舞台裏で奔走した人たち。その努力の集大成がディスコ風にアレンジを施した“One Night Only”ではないか。

この頃の時代背景もしっかり詰め込まれていて、それが音楽やステージをさらに盛り上げている。★4.6
リトル・チルドレン

2006 アメリカ 洋画 ドラマ
作品のイメージ:泣ける、切ない
出演:ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリー

「イン・ザ・ベッドルーム」と同じ監督(トッド・フィールド)の作品なだけに、リアリズムに拘っている。これは、単なる不倫のドラマではない。「アメリカン・ビューティー」を彷彿とさせる”pathos”、時には「ドッグヴィル」を思わせる「村」で生きる人々の人間の心のもろさが、静かで地味なドラマのラインからくっきりと浮かび上がっている、そんな感じだ。アメリカの郊外の町の美しい景色を背景に、大人になりきれない大人たちの群像を寒色の光で照らしているような作品。

性犯罪者の烙印を押された息子を庇う母親が悪意の落書きを懸命に消すシーンや、息子が亡くなった母親の手紙を読んで泣くシーンでは、痛いほどやるせない気持ちに。

しかし、フットボールの試合がこの作品でどんな意味合いを持っているのかは、いまいちピンとこなかった。試合のシーンを削って、全体をもう少し短めにまとめてもよいのかもしれない。

「ボヴァリー夫人」の読書会については、ヒロインのサラ(ケイト・ウィンスレット)の心情とボヴァリー夫人の心情をダブらせる効果があるのだろう。サラが読書会で述べる感想は、作品のキーとなっているので、もっと膨らませて説明要素を増やしてもよいのではないか。

「クラッシュ」みたいに、観た後にじわじわと良さが湧いてくる感じ。★3.3

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