「ほのぼの」としていて「笑える」ラブコメかと思っていましたが、女同士の友情や両親を想う話なんかも盛り込んであって、ちょっとホロっとさせてくれます。小さな頃からケーキ依存症で、15才で「ブー子」と呼ばれるようになった信子(相武紗季)…そんな彼女がケーキ屋の太一(速水もこみち)と運命の出会いをして、決死のダイエットに取り組んではリバウンドをして…というドラマです。
まず、このドラマは、ダイエット中の人はあまり観ない方がよいかも。それはそれは美味しそうなケーキやステキなフレンチのお店のお料理なんかの映像は、目の毒とでもいいましょうか。それに、ドラマとしてはそこそこ面白い展開なのですが、現実では絶対あり得ないところが多すぎなのです。だって、体重70キロ代の人が2週間程で40キロ代になるなんて、不可能でしょ。あり得たとしても、体に良いわけがない。ものを書く仕事をしているのならなおさら、カロリー摂らないと頭が回りませんよ。
それに、ダイエットって体重を減らすものじゃなくて、体脂肪をおとすことだと思うんですよね。なので、体重が減っても筋肉や骨量が落ちていたら、全然意味がない。信子の体重計って体重しか測れないものだったみたいだけど、本当にダイエットに取り組むなら体脂肪も測れるものを買うべき、エステとか行くお金があればね。
とは言え、人生教訓とまでは言えないけど名言っぽいセリフもいくつかあって、脚本はかなり秀逸だと思いました(「本当の友達は、人生で何人もできるものではない」とか「人間、赤ちゃんのときは一日に300回笑うけど、笑う回数は年をとるとともに激減する」とか)。あと、信子がキレたときに言うセリフって、すごく当たっているというか、よく人を見てるというか、感心するほど。特に、最後に元カレの研作(勝地涼)に言うセリフは、観ていてスッキリしました。
信子はみんなに「暑苦しい」と言われていたけど、自分のことより大切な人の幸せを願える女性という意味では、尊敬します。信子の親友の瞳(栗山千明)は、あっさりしていていい感じですね。こういう人と、わたしは合いそう。それにしても、いくら食べても便通が良すぎて全然太らない体質って、羨ましすぎる!男性陣は、なんか「俺についてこい」的な亭主関白な人ばっかりで(信子のお父さんも結局そうなっちゃうし)、少し引いてしまいましたわ。
エンディングは、ちょっと安易ですかね。それに、「トンカツ・ケーキ」って、どう考えても、あまり美味しそうじゃないんですけど…(苦笑)。まあ、これを観た正直な感想は、「わたしは、ケーキ屋のお嫁さんにもトンカツ屋のお嫁さんにもなれないな」ということ。というか、なる能力がないです、はい。それと、ダイエットのモチベーションは、『THE ダイエット!』や『バラ色の聖戦』の方がモチベーションは上がります。ダイエット中かダイエットを考えている方には、そちらの二つの方がおススメです。でも、相武紗季ちゃんの体当たりの演技は、見事だと思いました。
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色々調査しすぎるスーザンを外科部長のハリス医師は、スーザンが疲れていてパラノイアになっているかのごとく扱います。この辺でサイコ・サスペンスなのかなと思いきや、全然違う路線でしたね(なにしろ原作を読んでないもんで…)当てが外れた感じはありますが、まあこれはこれでそこそこ面白かったです。
医療サスペンスでもあると同時に社会派ミステリーでもあると言えるこの作品…当時としては斬新だったでしょうね、今の時代だと似たようなストーリー展開のものもあるような気がしますが。原作がしっかりしているので、映画化してもハズレにはならないといった安心感があります。それにしても、この作品って、R指定されてないんでしたっけ?若干のお色気シーンがあったりグロテスクな映像があったりしたので、せめてR-15くらいに設定しておいた方がよいのでは…?あの研究所のシーンや死体安置所のシーンは、映像的にどう見ても怖いですよ。
一度観ただけではちょっとわからない部分が一つあり、関連のチャプターを再見してようやく理解できました。それは(あまり言うとネタバレになりますので抽象的に)、ネイティブの方だったら一回目で気づかれると思うのですが、日本人にはちょっとピンと来ない感じのネタなのです。少し言っちゃうと、日本でも苗字にも下の名前にも登場する名ってありますよね(たとえば、「泉さん」とか「奈美さん」)。だけど、日本人の場合、苗字は漢字であるということ、あと仕事関係ではあまり下の名前では呼ばない習慣があるということを考えると、若干文化の違いみたいなものを感じてしまいました。
ファッション、メイクやヘアスタイルからも、70年代の香りがぷんぷん(あ、悪い意味じゃなくて)。マイケル・ダグラスが若〜い!ヒロイン役の女優さんは初めてお目にかかりましたが、すごい美人ではないけどかわいい印象ですね。華奢な体に、あの凄いパワーが潜んでいたとは…!体当たりで演技をされている彼女には、独特の魅力がありましたよ。
やや惜しいかなと思ったのは、ハリス医師が医療の在り方の持論みたいなのを説くのですが、それにあまり説得力がなく、社会派ミステリーにするのならその辺にもっとパンチを効かせるべきではなかったかと思います。ラストはあっけなく幕が閉じちゃって、中盤が膨らんだだけに、何か物足りない感じがしました。
]]>いつか観なきゃと思っていたのですが、精神的に余裕があるときにと思いこのお休みに観ました。お話は、都会の精神病棟の一室で大学の助教授だった村井(久保明)が回想するシーンからスタートします。自分たちの身に起こったことを話しても信じてもらえず、狂人扱いされるだけだと嘆いている村井。会社社長、流行作家や歌手といった著名人を含む男女7人が豪華ヨットで海に繰り出したのですが遭難し、無人島に漂着。島に近くの難破船には缶詰などの食糧が残されていたものの、「船員が日々消えていく」「キノコは食べるな」というメモがあり…
前半がやや冗長に感じられ、食糧不足という極限状態におかれたときの人間のエゴが執拗に描かれています。カビとキノコに覆われた孤島で、空腹に耐えかねて食糧を奪い合ったり、仲間を裏切ったりするものも出てくる始末。もうこんな状況では、地位も名声もお金も何も意味を持ちません。形振り構わず自分だけは助かりたいという人間の業を、凄まじいタッチで映し出しています。そして、とうとう食べてはいけない禁断のキノコに手を出すものが出てきて、食べた人からキノコ化してしまいます。
怖いというより、切ないですね。いちばん正義の人である村井だけが生還するわけですが、村井の好きだった明子(八代美紀)もキノコに手を出してしまい、結局独りぼっちで人間社会に戻ってきて何を話しても信じてもらえないわけです。こんなことなら、好きな彼女と一緒にキノコを食べてキノコ化すればよかった…この気持ち、よくわかります。
そして、最後に深いオチがあります。このオチの解釈は、ひとさまざまなようですね。本当にキノコを食べたからキノコ化したのか、人間がキノコ化したのは別に理由があるのか?原案は星新一さんということもあり(違うという説もあるけど)、人間社会を風刺した作品であると考えると、やはり後者のような気がします。どんなに正義を貫こうとしても、人間社会で生きてまたそこに戻ってきた以上、どうにも逃れることはできないものなのだと…
この作品が制作された60年代という時代を考えると、物質文明が急激に頭をもたげ人間の理性や倫理観というものが軽視され始めた時代を強烈に当てこすった作品と思われます。そういう意味では、特撮ホラーというよりも風刺というジャンルに入るような気が。とにかく、この時代には異色な作品として、さぞ際立っていたでしょうね。題材は、今観ても新鮮で洗練されています。一度は観ておく作品であることに、納得しました。
但し、映像はあまり怖くないしゾクゾクもしないしドキドキもしないんですよね。なんだろう、むしろ微笑ましい感じ。この映画を観た後ショックでキノコが食べられなくなったという人もいるらしいですが、わたしは大丈夫でした。しばらく、シメジを見たら思い出しそうですけどね。そう言えば、ドラクエに出てくる「マージマタンゴ」というキノコのモンスターがいたのを、思い出しました。あまり強くないモンスターでしたっけ。まあ、キノコより恐ろしいのは人間だということなのでしょう。
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関口さんは、日本よりも太めの人が多いオーストラリアという環境、そして結婚生活の破綻などの原因から90キロ以上に太ってしまいダイエットを決意するわけですが、まず監督でありヒロインである関口さんが前向きでとても明るいのです。全然自分を飾ることをせず、まさにあるがままの自分を映し、体当たりでダイエットに臨む姿に非常に好感が持てます。また、ダイエットに取り組む人に、勇気を与えてくれます。なので、「切なさ」や「滑稽さ」は、まるで感じられませんでした。
但し、精神科医の言葉には、かなり引いてしまいました。「君の場合は太っている原因は、君の人生そのものにある。君はいったい何をしたいのか?日本人でありながらオーストラリアに住んでいて、離婚経験もある。それに亡くなった父親のことが、肥満に深く関係しているようだ」みたいなことを言われるのですが、おおらかな関口さんもさすがにこのセラピーの後は、落ち込んでいた様子…当然です!
90キロ以上あるわけだから、「痩せて何をしたいのか」なんて考える必要はないと思うんですよね〜。だって、それだけで体に負担がかかっているわけだから、「健康と美容のために痩せる」…それで十分だと思いますよ。というわけで、「ためになる」と思うのはあくまでも関口さんの前向きなダイエット生活であり、「自分の人生を見つめ直す」ことでダイエットするというのには、どうもわたしにはしっくり来ない感じです。
結局約16キロ痩せることに成功されましたが、やはりいちばん効果があったのは、?暴食はやめる ?筋トレと有酸素運動を続ける なのではないでしょうか?でも、急激なダイエットは危険ですから、ある程度の時間をかけることと(実際何カ月もかけられています)、食事も極端に減らしたり抜いたりしないことが、長い目で健康的なダイエットを成功させる秘訣である気がします。それに、関口さんの場合、やはり和食に切り替えたことも大きいでしょうね。ピザやチョコレートが大好きだった彼女ですが、それを我慢して家で和食をつくることでかなり摂取カロリーが少なくなったようです。
自らが被写体となり食について考えさせてくれるという意味では、『スーパーサイズ・ミー』とどこか似ている部分があります。ダイエット前に借りるか家に一枚買っておいて、食べたくなったときにこれを観るだけで効果がありそうです。関口さんの自分をさらけ出す勇気とポジティブな姿勢については★4なのですが、心理的アプローチについては★2くらいなので、総じて★3ということに。
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評価:
コメント:2011 アメリカ 洋画 ミステリー・サスペンス 出演:レイトン・ミースター、ミンカ・ケリー、カム・ジガンデイ、フランシス・フィッシャー |
それにしても、ヒロインのミンカ・ケリーが魅力たっぷりと思っていたら、2010年の世界で最もセクシーな女性に選ばれたんですって。日本人にも受けそうな、どこから見ても美女といった感じですね〜。かたや、ルームメイト役のレイトン・ミースターは、話題のテレビドラマ『ゴシップガール』に出演している有名な女優さんだとか。彼氏役のカム・ジカンデイも最近観た『エクスペリメント』に出演しているし、エロ教授役のビリー・ゼインって「どこかで観たことあるけど思い出せない〜」と思っていたら、なんと『タイタニック』でヒロイン・ローズの婚約者役だった人じゃないですか!あの忘れられない目つき…見つめられるとちょっとドキっとときめくかも…。なので、キャスティングは超豪華なわけです。
全米では劇場公開されて初登場一位だったらしいのですが(日本ではDVDスルー)、ルームメイトが怪しい奴でどんどん不可解なことが起こっていくってありがちなストーリーですよね。最初からラストまでの展開が完全に読めてしまうので、そういう意味では陳腐な作品と言わざるを得ません。それにしても、「サラはレベッカが異常だということに気づくのに時間かかり過ぎ!」と思いませんでした?
とは言え、「怖さ」は十分です。学園ものサスペンスというか、一応サイコ・スリラーのジャンルに入るのでしょうね。レベッカがサラに執着していき、彼女に近づく人間を全部排除していくという過程は背筋が凍ります。レベッカがサラにもらったピアスをそのまま耳に突き刺して付けニヤッと笑うシーンは、ゾゾッとしました。
但し、不満な点は、誰の視点で描いているのかが曖昧なこと。サラは鈍感でレベッカがおかしいことに気付いていないわけで、観客は「怖さ」を感じるのですが、作品中誰が怖さを感じてるのかはっきりしないのです。「レベッカが怖い」ということは、レベッカの視点でもないですし。レベッカ側から言えば、そんなにサラに執着する理由があり、その理由はラストに明かされます。サラが早めにレベッカの異常に気付いて、サラの視点で「怖さ」を表現することに徹するようにした方がよかったのでは…とか。
学生寮のルームメイトって、こういう作品を観るとどんな人と一緒になるかちょっと不安ですよね、しかも二人部屋だし。まあ、リアルにはここまでのケースはないと思いますけど。でも、わたしも学生のときに、ちょっと似た経験をしたことがあります。一時期いちばん仲の良かった友達なのですが、他の友達とどこかに出かけたり男の子の話をするだけで不機嫌になったりしてました(もちろん、「怖い」レベルではなかったですが)。そんな昔のことを思い出してしまうようでもあり、ある意味ストーカー的なルームメイトの怖さを描いた作品でした。★2と★3と迷うところですが、もう少しひねりが欲しかったということで、辛目の★2です。
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評価:
コメント:2011 日本 国内TVドラマ コメディ 出演:江口のりこ、増田有華(AKB48)、池谷のぶえ、杉浦一輝、安藤サクラ、越村友一、小林涼子 |
シリーズごとに20話あるのでどの話がストライクかというのは人それぞれ違うと思いますが、ツボなのは第何話か覚えておいてニヤニヤ笑いながら何回も観て楽しむのもよろしいかと。ちなみにわたしのツボだったのは、「夢をあきらめないで」(第5話)と「捨てられない女」(第10話)。それに、スペシャル番組として放映された『野田とメリークリスマス』(特典映像)…さらに輪をかけたようなほのぼの感が楽しめます。
野田さんといつも一緒にいる重松さんがいつも野田さんやみんなのことを観察していてツッコミを心の中でつぶやくのですが、これがまた鋭い!特に、第5話でのツッコミは冴えていたと思います。野田さんのバイト仲間富沢さん(AKB48の増田有華)の彼氏(ストリート・ミュージシャン)の曲がタイトル通りの「夢をあきらめないで」で、この曲一度聴いたら耳にこびりついて離れないのです。重松さんが「一周回っていい曲に思えてきた」とボソッとつぶやき、まさに彼女の言う通りのように思えてきました。ぜひ一度聴いてみてください(出だしは引くと思いますが、なんとか最後まで聴いてあげてください!)。
江口のりこさんも、役にドンピシャな感じですね。「江口さんがシーズン1のときよりもさらに『野田化』している」ってメイキング映像で誰か言ってたけど、「江口さん=野田さん」みたいなイメージがわたしの中では完全に出来上がってしまっています。野田さんって、「こんな人いるよね〜」とは言えても一言で説明しづらい…そんなキャラクターです。マイペースで正直で真面目で、本人も「同年代の若者の生活というものが見当がつきません」と断言しているように完全に周囲からは浮いているんだけど、なぜかほんわかしていて空気が和む…野田さんみたいな人と友達になりたいですよ、ほんとに。また、シチュエーションも、「こういう状況ってあるある」というのをうまく再現してくれています。
というわけで、引き続きシーズン1も鑑賞しつつ、シーズン3を期待しちゃったりします(でも第20話の展開から、もう終わりなのかしら?)。現場の雰囲気もどんどん良くなってきているようですし、「野田エキス」をまたみんなに振り撒いてくださいね。元気を分けてもらえますので。
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評価:
コメント:2010 アメリカ 洋画 アクション ラブロマンス 出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ヴィオラ・デイヴィス |
スピード感のある展開で、最後まで観客を飽きさせない工夫がされていたと思います。トムお得意のバイク・シーンもあり、セミプロ級の腕が光っていましたよ、今回も。ザルツブルグの景色がきれいだったし、セビリアでの牛追いのシーン(ロイがジューンをバイクの後ろに乗せて牛と共に疾走する)なんかも盛り込んであり、エンタメ的な要素は満載。スタントを使わないトムのアクションは、いつも通り見応えがありますね。でも、ジャンキーか?って思うほど睡眠薬をお互い注射し合って、起きたら全然違う場所だったりって…て、ちょっとそれはやり過ぎなのでは?!
タイトルの『ナイト&デイ』ですが「昼も夜も」っていう意味かと思っていたら、”Knight and Day”だったんですね(『ダークナイト』からヒントを得たのか?!)。騎士っていうのは、ロイのことなのでしょう。理想の男性を探し求めていたジューンは、白馬に乗った騎士を見つけたっていうことになるんでしょうか?うーん、まあ娯楽作品なんで、それほど深さは求めないことにします。
もうすっかりスパイ役が板についたトムと今回も元気娘のキャメロン、二人とも本領発揮って感じです(年齢的にキツイ部分もややありますが)。トムがイーサンに見えたり、キャメロンがチャ―リーズ・エンジェルに見えたりもしましたが、二人の息もピッタリ合っていて、観ていて気持ちがよかったです。どちらかのファンならかなり満足度は高いと思いますし、とにかく楽しい作品です。
しかし、それ以上のものでもそれ以下のものでもないんですよね(そういう風に感じるのは、自分の年のせいか?)。観ているときは、ドキドキ・ハラハラして難しいことは一切ないのでラクに観れますが、観た後はすぐ忘れちゃいそうな感じです。なにしろ、平凡なヒロインが陰謀に巻き込まれて、逃避行的な作品って多くないですか、ハリウッド映画に?頭をカラッポにしたいときとか、嫌なことがあってスカッとしたいときによいのかもしれませんね。また、細かいところにツッコミを入れてはいけないということを、肝に銘じておく必要があります。
総じて軽い作品ですが、トムとキャメロン共演のこういう作品が一本あってもいいような気はします。それにしても、なぜホール・アンド・オーツの曲「プライベート・アイズ」がいきなり挿入されるのか…(はて?)
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評価:
コメント:2010 アメリカ 洋画 ミステリー・サスペンス 出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ、ポール・ベタニー、ティモシー・ダルトン |
まず、観て損はないどころか、満足度はかなり高かったです。そのわけは、単純な理由ですがヴェネチアの景色がすばらしい、100分という短さでうまくまとまっている、セリフが気が利いている、舞踏会のシーンなどもありアンジーのファッションがオシャレ、ストーリー展開自体が古き良き映画を思い出させてくれる小気味のよさがある…などです。
ネタバレ厳禁といっても途中でオチがわかってしまったという方も多いようで、わたしもフランクが列車の中で読んでいた本のタイトルからわかってしまいました。おそらく、この時点でエリーズも気付いたのでしょうね。しかし、このオチがわかっていてその通りだったという薄っぺらさは感じず、むしろ爽快感の中エンディングを迎えます。
全体的に無難な作品なので、劇場で観るのなら初デートなんかに向いてそうですね。あと、ファッションがオシャレなところでは、男性より女性に支持されそうとも言えます。凛としたエリーズ、ちょっとダサくてひょうひょうといているフランク、それにいつもカリカリといら立っているポール・ベタニー演ずる警部が加わり、三人のアンサンブル効果がすばらしいハーモニーを奏でていました。目の肥えた映画ファンの方は物足りなさを感じられるかもしれませんが、逆にこういうヒッチコックなんかがベースになってそうなロマンティック・サスペンスなんかは、今の時代目新しいのではないでしょうか?
それにしても、なぜこの「旅行者」って意味のタイトル?平凡なタイトルと不釣り合いなくらいに映像は豪華だし、洒落ている…もしかして、一見ダサく見えるけれど実は実は…というのをほのめかしているタイトルだったりして。やはり、本当にステキな男性っていうのは、見た目じゃなくてこういう大きさだったりするんでしょうね。エリーズがとことん惚れ込む気持ち、わかります。男性ならこんなことを言われてみたいというセリフもあり、女性ならこんなロマンティックな演出をされてみたいという場面もあり、甘い非現実感に浸ることができます。
華麗な雰囲気の中、三人のステキは俳優さんがガイドしてくれるヴェネチア観光…そんな気分が味わえる粋な一本。メイキング映像も付いていますが、三人の誰かが吹いてしまうというNGシーンとかも含まれていて、和気藹藹とした現場の様子が伝わってきました。お時間に余裕があれば、こちらもおススメです。
]]>タイトル通りの重いテーマなので、内容がタイトルに負けなきゃいいな…なんて思いながら観た法廷サスペンスです。法学部講師の水戸(山本耕史)と、弁護士の大伴(小澤征悦)、そして検事の麻梨子(戸田菜穂)は、一緒に法を学んだ学友でした。大伴は死刑廃止活動の扇動者として名を知られている中、大伴の妻が何者かによって殺害されてしまいます。そして、大伴は容疑者の死刑を求刑するというストーリーです。
死刑の基準って、いったい何なのでしょう。初犯で一人を殺害した場合、余程のことがない限り死刑判決が下ることがないというのが現状です。情状酌量の余地がない場合でも、最高で無期懲役(最近刑が重くなってきてますので)。一方で、被害者遺族側としては何の罪もない家族を殺されたら極刑を訴えるのは当然の心情、と言わざるを得ません(当事者になってみなければわからないことなので、あまり軽々しいことは言えないわけですが…)
とは言え、被害者家族のお気持をくんでも、わたしは死刑には反対です。理由は二つ。一つは、自分の犯した罪はやはり生きて償うべき。犯した罪の重さを自覚してその十字架を最後まで背負い天寿を全うすべきだと、そう思っています。それに、死刑を自殺に利用する人もいるかもしれませんから。二つ目は、冤罪の可能性がたとえ1%以下でもある場合。執行された後冤罪だと分かっても、取り返しがつかないからです(「冤罪」についての深い議論はちょっと置いておくとして)。そういう意味では大伴と意見が似ているわけですが、これはあくまで一般人の私見であって、違いは大伴は法にたずさわる人間であるという点です。やはり、法廷に立つ立場の人間がそれを公言するということは、相当大きな意味を持ってきます。
死刑の是非はそれぞれの考えがあるわけで、このドラマが死刑基準を決めてくれるわけでもなく、死刑制度についてもう一度考え直すくらいのものでしかありません。しかし、組織の命令に反してまで正義を貫こうとする麻梨子や定年間近の刑事(柄本明)の勇気ある決断には、人が人を裁く上での道徳を考えさせられます。そして、「死刑は被害者遺族の復讐のためのものではない」とう水戸のことばが、この果てしなく重く大きなテーマを一応は締めくくっています(ちょっとこじんまりまとまっちゃった感はありますが)。
でも、大伴の妻を殺害した真犯人の気持ち、わからなくはないです。大伴が反感を買う理由は十分にあります。イケメンで脚光を浴びている若手弁護士、そんな弁護士に上から目線で法の理論を説かれると…。小澤征悦さんは、今回の役にピッタリで、なかなかの好演でした。山本耕史さん、戸田菜穂さんや他の俳優さんを見ても、キャスティングが当たっているのではないでしょうか。それにしても、WOWOWさん、いつも大きなテーマにチャレンジなさっていますね。コンプライアンス、お得意分野とお見受けします。そういうドラマ、わたしは好みですけど。
]]>何が合わないかというと、ヒロインなつめのキャラクターがかなり苦手なのです。何もできないのに前ばかり見ていて自信過剰、無神経で空気が読めない、人の心の中に土足で入ってくるようなタイプ。十村に晩餐会のためのお菓子作りを手伝ってほしいと頼み込むときも、「先生なんかやってないで、本なんか書いてないで…」とかって言ってました(苦笑)。これって、講師をしている人や作家の方に失礼なのでは?彼氏が逃げ出すのもわかるような気が…
それに、脚本もいちいちキツイのです。なつめのケーキを試食した十村が「ゼロ点だ」とあっさり言い放ったり、コアンドルの常連客(加賀まりこ)が「お店の評判を落とすようなものを出さないように」みたいなことを言ったり。もちろん、ケーキ職人という仕事柄きびしいことを言われるのはわかりますよ。でも、そもそも人がせっかくつくったお料理にケチをつけるって、あまりいただけません。いくらお客やその道を極めた人という立場であっても、もう少しやわらかいセリフにしてもらいたかったです。外食した場合そんなにおいしくなくても、笑顔で「ごちそうさま」というのがつくった人への礼儀だと思ってますから。
また、コアンドルで働いている先輩(江口のりこ)も結構意地悪なんですが(でも先輩が意地悪になる原因はなつめにあるような…)、終盤その先輩となつめが思いっきり喧嘩をするシーンは、なんかひどく醜いものを見せられた気がしました。ケーキの映像は、きれいでホントに美味しそうなんですけどね〜。ストーリーもありがちだし、江口洋介の役もパッとしなかった感じです。もっとほのぼのしていて口当たりのよいものかと思っていましたが、見かけはかわいいけど味の濃すぎるお菓子を食べさせられたようなそんな感じの作品でした。
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評価:
コメント:2011 アメリカ 洋画 ミステリー・サスペンス 出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、スティーヴン・バーコフ |
スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンによるベストセラー小説「ミレニアム」三部作のうち、同名タイトルの第一部を実写映画化したハリウッド版リメイク作品です。ポスターの「少女失踪から40年―二人が突き止めた身も凍る真実とは?」というキャッチフレーズに魅かれて、劇場まで足を運びました。それに、ダニエル・クレイグが目当てというのもあったんですが、その結果あまりにインパクト大なルーニー・マーラにやられてしまった感があります(アカデミー賞主演女優賞ノミネート、おめでとうございます!すばらしい…というか強烈な演技でした(汗))。
謎の老人が年一回必ず送られてくる郵便物を受け取り溜息をもらすとところから、お話が始まります。このシーン、一瞬なので見逃しそうになるのですが。かたや、敏腕ジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)が大物実業家のスキャンダルを暴いたばかりに、名誉棄損で有罪判決受けていまいました。そんな中、ミカエルは、40年前の少女失踪事件の真相究明を依頼され、その少女の一族の住む孤島へと向かうのです。そして、彼のアシスタントとなる天才ハッカーのリスベット(ルーニー・マーラ)を、紹介されます。
まず、R-15指定されているだけあって、性描写が露骨な上に猫の惨殺死体の映像なんかもあり、かなりグロテスクです。なので、絶対にお子さんと一緒には観ないでください。ストーリーで言えば完全な謎解きミステリーなわけですが、描写が半端なく過激です。その割には、ミステリーの結末自体は「身も凍る」程のものではなかったところが、ちょっと肩透かしでしたけどね。
ダニエル・クレイグのファンへのサービス・シーンなんかもあったりするわけですが、そんなのも消し飛んでしまうほどのルーニー・マーラ扮するダーク・ヒロインの印象が強力です。いくら天才ハッカーとは言え、そこまで個人情報をネットで調べるのはムリなのでは?とか、それにしても、ミカエルはモテ過ぎでは?とか、細かいツッコミも気にならなくなるくらい…いや、ほんとに。
また、失踪した少女の一族の相関図がわかりづらかったです。原作既読の方かオリジナルを観た方だと自然に入っていけるのでしょうが、いきなりだともう少し予習しておけばよかったとちょっと後悔。今回第一作目ということで、続編ももちろん制作される予定らしいのですが、あのラストでどう続編に持って行くのか、楽しみというか見物ですね(実は純粋な心を持つリスベットが可哀そうだったので、ミカエルとの関係を…おっと、ネタバレ自粛します)。
でも、気にかかるのは、失踪した少女とリスベットがあまりにも似ていた点…これに意味はあるのでしょうか?何かが、リスベットとミカエルの関係が相似形になっているというメタファー…?であれば、ミカエルにはリスベットの気持ちを踏みにじるようなことは絶対してほしくない、ミカエルはリスベットのかけがえのない友人でいてほしい、ミカエルもそれを理解してあげて、リスベットと簡単に性的関係を持ったり、便利なアシスタントと思わないでほしい…と切に願います。続編ですが、もちろん見届けに行きます!★3か★4か迷うところですが、続編に期待して(というか先行投資で)オマケの★4。
評価:
コメント:2009 スペイン 洋画 ドラマ 文芸・史劇 出演:レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ、オスカー・アイザック、マイケル・ロンズデール |
ローマ帝国末期のエジプトのアレクサンドリアで、図書館は英知の倉庫のような存在でした。その図書館長の娘で天文学者のヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は、天文学について教鞭をとっていて、たくさんの弟子たちから慕われていました。才色兼備な彼女に憧れ敬愛の念を持つものはいても、ヒュパティアは宇宙の謎を解くことに熱中し、異性への愛に応えることはなかったのです。
ヒュパティアを崇める三人の男性に、注目してみました。一人目は、後にアレクサンドリアの長官となり政治のためにキリスト教に改宗するオレステス(オスカー・アイザック)。彼は、弟子であるときから積極的にヒュパティアに近づき、愛を告白します。二人目は、ヒュパティアの奴隷のダオス(マックス・ミンゲラ)。彼は、秘かにヒュパティアに恋心を抱き天文学の才能がありながらも、自分の身分を自覚し一旦は彼女から離れていってしまいます。三人目は、後に主教という要職に就くシュネシオス(ルパート・エヴァンス)。彼は、キリスト教への改宗にしか目が行かず、ヒュパティアを結果的に裏切るかたちとなります。
歴史、宗教、天文学という大きな材料を扱いながらも、四人の登場人物の心の機微を見事に描いているところは、さずがはアメナーバル監督!宗教戦争により人類の知恵がもみ消されるのは歴史上よくあることですが、アメナーバル監督はそれを真っ向から批判したり風刺したりするスタイルではなく、ヒューマン・ドラマの中にうまくはめ込んだという感じ。また、天文学についても、小難しいセリフは一切排除して素人にもわかりやすいような脚本となっているところが、観客に優しいです。
そして、キャスト。まず、ヒロイン役のレイチェル・ワイズなんですが、かなり痩せましたよね。知的で冷静な役の役柄上というのもあるのでしょうが、『ナイロビの蜂』や『ハムナプトラ』シリーズのときに比べて、なんとなく元気がないような気がしたんですが…わたしの気のせい?オスカー・アイザックについては、『ダイアナの選択』で、いい加減な男を演じていたのでそのイメージをなかなか払拭できなかったです(苦笑)。マックス・ミンゲラは、不思議な魅力のある俳優さんですね。他有名作品にも出演しているようですが、わたしは今回初めてお目にかかりちょっとキュン… 純朴な青年が、どんどんたくましく剛勇になっていく過程に、ぞくぞくしてしまいました。
さて、衝撃と感動のラスト。実際には、ヒュパティアは生きたまま貝殻で肉をえぐられるというひどい殺され方をされたようですが、この作品ではかなり救いのあるものになっています。こういうかたちの愛って、本当に切ないです。でも、これこそが本当の愛?!
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ジャックは弟達とともに、敬虔なクリスチャンの家庭で、厳格な父(ブラッド・ピット)と優しい母(ジェシカ・チャスティン)によって育てられました。父は子育てに熱心で愛情深かったのですが、ときには暴力を振ったりするという極端な面があり、自分が音楽家になりそこなったことを悔いていました。そんな父が失業し それまで住んでいた家を売ることになり、その後弟が死んでしまいます。両親への想い、弟の死の悲しみが、すごく丁寧に描かれているのですが…
確かに、映像は美しいのです。でも、海や海の生き物、木、空、火山のマグマの映像が延々と続いて、これって、ネイチャー・ドキュメンタリー???と思ってしまうほど。また、生命の誕生のミクロの世界や恐竜まで出てきて、わたしには理解不能の領域に…。加えて、宗教的な啓示にも満ちているわけですが、途中で寝てしまったことが不謹慎で申し訳ないような気持ちになってしまいました。なので、万人受けしない作品であることは、間違いないです。
ジャックの心情をイメージ映像で表現したという意味では斬新な作品として、その点はそれなりの評価をすべきなのかもしれませんが、彼の心の中を詩で謳いそれを自然映像で表現してみました…という印象しか残っていません。そんな感じの作品がお好きな方には、よろしいかと…あと、ブラピのファンの方や自然映像を観るのがお好きな方とか。でも、ヒューマン・ドラマというと、ある程度主人公に感情移入できたり、共感できるセリフがあったり、心を動かされる何かがあると思うんですが、残念ながらそれはなかったです。
映画の冒頭に旧約聖書のヨブ記が引用されるわけですが、それが作品の中でどういう意味を持つかくらいは、何気なく解説がほしかったですね。難解な作品はたくさんありますが、それなりの起承転結はあるわけでして。「わかる人にだけわかってくれればよい」という演出のしかたは、あまり感心できません。あるいは、映像を見せて、「観る人それぞれの解釈をしてほしい」という意味なのでしょうか?というわけで、賛否両論の問題作、わたしは「否」の方に一票です。
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評価:
コメント:2010 アメリカ 洋画 ミステリー・サスペンス 出演:エイドリアン・ブロディ、フォレスト・ウィテカー、キャム・ギガンデット、クリフトン・コリンズ・Jr |
スタンフォード大学での心理学の実際に行われた実験がベースになっているお話なのですが、囚人役の人たちに屈辱感を与えて、囚人役と看守役の人たちの人間性がどのように変化するかを監視カメラで撮るという、なんともエグイ実験なのです。この作品を観て、思い出したことがあります。以前研修で、パワハラのロール・プレイングというものに参加したことがあります。二人が組になり、わたしは嫌みなことを言う上司役をさせられて、教科書に書いてある通りに言っただけなのに、相手の部下役の人が本気で怒り出したのです。
この作品の設定においても、報酬のために実験に参加したということはみんな理性の上でわかっていても、やはり人間の感情というのはコントロールできないものというのは、火を見るよりも明らかなのではないでしょうか。屈辱感を与えられたら、「それがどんなに相手を傷つけるものなのか、身をもって知らせてやる〜」と思う気もわかりますし、そんな状況では、自分を誇示したいという人間の支配欲というのは自ずと出てきてしまうものでしょう。
有名大学で、わざわざ実験をするまでもないと思うんのですがね〜。それに、その実験がたとえ心理学史上に残る実験であったとしても、一度映画化すれば十分だと思うんですよね。なので、わざわざリメイクまでした意図がわかりません(オリジナル作品を観てないので、あまり偉そうなことは言えませんが…)
印象に残ったのは、あんなにお互い感情的になっていたにもかかわらず、実験が中止になってみんな迎えのバスに乗り込んだら、実験前と同じ見知らぬ他人になっていたことです。ロール・プレイングの世界から出てしまえば、「あれは報酬のためにやっていたんだ」って案外割り切れるものなんですね…その点はちょっと意外でした。
いつか観なきゃと思っていましたが、オリジナルの作品までは観る気はなくなりました。一度観たら十分ですし、同じ実験がベースになっているわけで、脚色されてはいるとしても本質は変わらないでしょうから。演技については、主役のエイドリアン・ブロディをフォレスト・ウィテカーが喰っていたように感じます。いつ見てもすばらしい演技ですね、今回も感心しました。★2と★3と迷うところですが、フォレスト・ウィテカーの演技が光っていたので、★3ということに。
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評価:
コメント:2011 アメリカ 洋画 ドラマ 伝記 出演:レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマー、ジョシュ・ルーカス |
情報は力であるということに早くから気づき、共産主義者や社会運動家などをリストアップ、さらに大統領を始めとした要人達のプライバシーを盗聴して弱みを握り、大統領ですら恐れる権力を握ったエドガー(レオナルド・ディカプリオ)。そんなエドガーには、意外な面がありました。それは、人をなかなか信用することができないということ。母親をはじめとして自分を愛してくれる人間…エドガーの方からプロポーズをしたけど結婚には興味がないので仕事であなたを支えると言ってくれた秘書のヘレン(ナオミ・ワッツ)、そしてエドガーの右腕のクライド(アーミー・ハマー)だけを絶対的に信頼していました。
で、クライドのエドガーに対する気持ちが中盤わかるわけですが、エドガーはそれを100%拒絶することはできなかった…それは、自分の信頼する人間が自分から離れていく不安と恐怖心からだったと思います(監督は、この作品において、彼自らが同性愛者という描き方はせず、クライドが自分から離れていくのを怖れたたため受け入れたという、そういう風にとれるような演出をしています)。50年近くもFBI長官であり続けた彼も、たくさん仲間がいたわけではなく孤独だったというわけです。
そして、老いとともに体力もなくなり健康を害し、クライドが「そろそろ引退をした方がよいのでは」と忠告するのですが、エドガーは自分がいなくなれば自分がつくりあげた組織がどうなってしまうのかわからないという思いから、なかなか勇退することはできなかった…これも、すごくわかります。彼は自分がつくったFBIという組織を自分の子供のように思っていたのでしょう。
エドガーの玉石混淆といった手段を選ばないやり方にはもちろん賛否両論ありますが、少なくともFBIという組織をつくり、犯罪捜査に最大限情報を活用することを始めた功績は偉大だと思います。しかし、そんな豪腕なやり方を貫く彼にも人間の弱さがあり、そしてどこか憎めない子供っぽい面があったのですが、そこがすごく精緻に描かれているのです。わたしは、彼のそんな面がとても愛おしく思えました。
三人の老けメイクが結構話題になっていますが、確かによくできています。特に、ナオミ・ワッツのメイクは自然で、上品に年を重ねたという印象。ディカプリオについては、メイクだけではなく、体型まで老いていく過程をちゃんと変化させていましたし。全体として、監督の細部へのこだわりが、随所に感じられる作品でした。
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