あず沙の映画レビュー・ノート

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イントゥ・ザ・ワイルド
2007  アメリカ  洋画  ドラマ  
作品のイメージ:切ない
出演:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ジェナ・マローン

実在の人物クリス・マッカンドレスの旅を追ったジョン・クラカワーのベストセラーの同名ノンフィクション小説(「荒野へ」)を、ショーン・ペンが映画化した作品。アトランタの大学を優秀な成績で卒業した22歳のクリス(エミール・ハーシュ)は、恵まれた境遇にありながらも繊細な感受性ゆえに満たされずにいた。突然すべてを捨て、ヒッチハイクでアメリカを縦断しながら様々な人々と出会い、文明に毒されることなく自由に生きようとするクリス。彼が最終的に目指したのは、アラスカの荒野だった・・。

 

(みなさんが高評価を付けているにもかかわらず、この評価(★2.7)を付けるのは非常に気後れするのですが、)全体的にインパクトに欠けているように感じ、途中何度か眠りに落ちてしまった。「何の力も借りず、土地の物だけを食べて生きる」と言っているわりには、銃を使ったり、植物図鑑に頼ったり、ヒッチハイクで車に乗せてもらったりと、部分的には物質主義社会に頼っているというところに矛盾があるような。全く文明社会に頼らずに生きて行くという決意は立派だと思うが、全く独りで経験もないままに「荒野に出て行く」のは無理があるように感じられた。また、彼のことを心配する家族の身になって考えた場合、独り善がりな旅としか言いようがない。

 

とは言え、クリスの心の軌跡が、鮮やかにそして純粋に観てとれる。誰もが若い頃に抱く一過性の熱のような文明社会への反骨精神、大人の世界の嘘や偽りへの嫌悪感、そして自分自身の力を試してみたいと思う自立心みたいなものが一緒になって、彼を荒野へと駆り立てたのだろう。しかし、生きて行くこと自体、そう甘くはない。生の厳しさを、彼はたった独りで思い知ることになる。若さ故の無謀さから突っ走り、そして朽ち果てて行く・・目的を果たす前に、思わぬものが原因でその夢を絶たれることになり、自然というものの大きさを改めて認識させられるのだ。

 

観ているだけで凍てつくような極寒の地であるアラスカの広大な自然の風景が、素晴らしい。映像がCGに頼っていないのも、作品の内容にマッチしている。パール・ジャムのエディ・ヴェダーによる音楽も、絶品。クリスの心の世界を、立体的に演出している。青春の甘酸っぱさに浸るには、かなり出来過ぎた舞台設定ではある。しかし、人生経験が既に豊富な人は、やはり未熟さを感じてしまい、そのまま感情移入することは難しいのだ。自分の能力を過信しがちな年頃の1020代の若者が鑑賞するのと、30代以降のある程度人生の酸い甘いをかみ分けた大人が鑑賞するのとでは、感じ方にギャップが出て当然であろう。後者の立場である自分自身は、どうしても親の立場に立って考えてしまった。子供が突然失踪し、音信不通になり、そして・・であったら・・。

 

クリスが自然の中で見つけたものが、書籍の中にある「人生における唯一の確かな幸福は他人のために生きること」であるのなら、かなり皮肉な結末と言えよう。しかし、このことが身にしみてわかるのには、この過酷な経験があってこそ・・ということになるのだろう。エミール・ハーシュの体当たりの熱演は、見物かもしれない。ラストに近づくにつれ、相当減量して頑張ったということが、よくわかる。また、クリステン・スチュワートは、「ランド・オブ・ウーマン/優しい雨の降る街で」からかなり大人になったという印象。原作を読んでから観ると、また違った感想が書けるのかもしれない。しかし、本作特有の青臭さは、それでもやはり感じてしまうであろう。

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コメント
from: hal   2009/07/24 3:40 PM
TBありがとうございました。
この映画、一つの人生哲学として興味深く鑑賞しました。ロードムービー的な要素もこの映画の見所だったと思います。
from: あず沙   2009/07/24 8:36 PM
halさん>こちらこそ、コメントいただき、ありがとうございます☆ クリスが各地で残した出会いと別れの痕跡を手がかりに描かれた、彼が見たであろう景色を追体験するロード・ムービーですね。彼がノートに書いていたメモ書きもその手掛かりになっているのでしょうね。メモ書きの一つ一つから彼の学んだことが読み取れるところが、興味深かったです。
from: manimani   2009/07/25 12:25 AM
こんばんは
ワタシは理路整然としたものを映画には求めないので、この映画の若者のように矛盾して思慮が足りなくて分別のない存在を描くことには大いなる魅力を感じます。
ただこの映画がそういう異形を撮るんだ!という覚悟があったのかどうかという点で、やや疑問を感じたのでした〜残念。。
またTBは成功しないみたいです?
from: wv040262   2009/07/25 12:32 AM
TBありがとうございました!
エミール・ハーシュが、好演していましたね。
特にラストのシーン、印象的でした。
from: あず沙   2009/07/25 3:03 PM
manimaniさん>いらっしゃいませ☆ なるほど、青春時代特有の尖がったような異形の魅力が感じられる作品ではありますね。何かに突き動かされるような衝動に駆られ、それが結果として分別のない行動となってしまう・・というような。その辺りは、音楽とうまく融合していたと思います。TBなんですが、調子が悪いようですね。せっかく送信していただいたのに、スミマセン。
from: あず沙   2009/07/25 3:05 PM
wv040262さん>こちらこそ、コメントいただき、ありがとうございます☆ エミールの演技が印象に残る作品ですよね。エミールの他の出演作品も、観てみたくなりました。
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原題:INTO THE WILD公開:2008/09/06製作国・年度:上映時間:148分監督:ショーン・ペン出演:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ジェナ・マローン、キャサリン・キーナー、ヴィンス・ヴォーン、クリステン・スチュワート、ハル・ホ
映画鑑賞★日記・・・ | 2009/07/24 3:33 PM
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Akira's VOICE | 2009/07/24 4:06 PM
 19日、試写会の主権はニッポン放送「高嶋ひでたけの特ダネラジオ 夕焼けホットライン」で、上映前にパーソナリティーの高嶋ひでたけさんとアシスタントの小口絵里子さんの舞台挨拶があり上映、客入りは7割ほど。イントゥ・ザ・ワイルド(DVD)◆20%OFF! 映画の話
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話題作だと思っていたら意外と公開規模が小さいんですよね。でもそのおかげでTOHOシネマズららぽーと横浜のプレミアスクリーンで観ることが出来ました。ここはゆったりしていて快適なんですよね。 出演はその他に、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ジ
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☆彡映画鑑賞日記☆彡 | 2009/07/24 4:46 PM
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=== アラスカの荒野で・・・ 『イントゥ・ザ・ワイルド』 === {{{: 【イントゥ・ザ・ワイルド】 INTO THE WILD 2007 '''監督・製作・脚本''' ショーン・ペン  '''製作''' アート・リンソン /
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公式サイト。 ジョン・クラカワー原作、ショーン・ペン監督、エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ハル・ホルブルック、キャサリン・キーナー、ヴィンス・ヴォーン、ジェナ・マローン、クリステン・スチュワート、ブライアン・ディアカ
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ちこひろ日記 | 2009/08/07 9:57 PM
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caramelの映画日記 | 2009/09/05 11:02 PM
 

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