あず沙の映画レビュー・ノート

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ラフマニノフ ある愛の調べ
2007  ロシア  洋画  ドラマ  伝記  
作品のイメージ:切ない、おしゃれ、ためになる
出演:エフゲニー・ツィガノフ、ヴィクトリア・トルストガノヴァ、ミリアム・セホン、アレクセイ・コルトネフ

作品全体の構成があまり練られておらず、シーンが時代を超えて飛び過ぎて分かりづらい展開になっている作品。ロシア革命の機に亡命した天才音楽家セルゲイ・ラフマニノフは、演奏旅行で全米を回り各地で成功を収めるが、その心は切なさでいっぱいだった。若くしてピアノと作曲の才能を開花させた彼は、望郷の念と多忙さから作曲に集中できずに苦しんでいたのだった。そんなある日、郷愁を誘う白いライラックの花束が届く。故郷に咲き乱れるその花の香りをかいだラフマニノフに、切なくも情熱的な愛の日々が甦る。募る想いを込めて交響曲を捧げた年上のアンナ。そして、革命に燃える瞳に心を奪われたマリアンナ。いったい贈り主は誰なのか?愛の記憶に導かれるように、ラフマニノフに新たな旋律が生まれようとしていた・・。

 

原題は、“Lilacs”(ライラック)。ラフマニノフのオマージュというよりも、彼の愛と苦悩の物語といった感じ。なので、かなり偏った感じで描かれているという印象。世界で最も美しく最も引きこなすのが困難な名曲を生み出す作曲家であると同時に、その曲を超絶的な技巧を持つ「魔法の手」で完璧に演奏できるピアニストという側面があまり描かれておらず、普通の音楽家の愛と苦悩の物語になってしまっている。天才音楽家の天才的な部分がストーリーから欠落していて、「アマデウス」のような感動が得られないのである。裕福な生家の没落、恩師との決別、初めての交響曲の失敗、作曲家生命の危機、ロシア革命と亡命、アメリカでの第二の人生・・などなど彼の人生の転機となる要素は一応はなぞられているものの、あまり深みが感じられないのは何故だろうか。

 

本作はロシア映画でありロシアが誇る天才音楽家の伝記であるのだから、もっとオマージュ的なものを期待していた。「鍵盤の魔術師」とまで言われたラフマニノフの超絶テクニックが観衆を圧倒するシーンが、もっと欲しかった。ピアノ協奏曲2番、3番などの有名な曲をふんだんに使った芸術性の高いドラマを期待していたのに、単なるラブ・ストーリーになってしまっているのは、かなり残念。また、年代順のストーリー展開になっておらず、カットバックの多い複雑な構成となっている。そのため、ラフマニノフの従妹であり後に妻になるナターシャの存在が、最初は従妹なのか妻なのかよくわからない・・などといった難点が挙げられる(予備知識なしで観たもので)。映像は、そこそこ美しい。しかし、全体の芸術性を考えると・・。

 

ラフマニノフを陰で支え続けたナターシャ・・「愛の物語」と呼ぶのであれば、主役はラフマニノフではなくナターシャであるような気もする。なので、視点をラフマニノフに置くべきなのかナターシャに置くべきなのか、観客は戸惑ってしまう。原題が「ラフマニノフ」となっていないので仕方がないのかもしれないが、しっかりした時代背景からラフマニノフ自体の肖像が立体的に浮かび上がるような仕上がりにして欲しかった。時間が96分と比較的尺が短いことから(もしかして予算の問題?)、短い時間にいろんな要素を詰め込み過ぎて、失敗作になってしまったという印象(扱った題材がすばらしいだけに、惜しいです)。★2.0

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彼の名前も楽曲もいたるところで耳にはするけどよく考えてみたらその人物像は全く知らなかったのでとても興味を持っての鑑賞だったんだけど・・・ 出演はその他に、 ビクトリア・トルガノヴァ、ヴィクトリヤ・イサコヴァ、ミリアム・セホン、アレクセイ・ペトレンコ
カノンな日々 | 2009/07/07 5:49 PM
{{{   ***STORY*** 2007年  ロシア 1920年代のアメリカ。ロシア革命を機に亡命した天才音楽家セルゲイ・ラフマニノフは演奏旅行で全米を回り各地で成功を収めるが、その心は鬱々としていた。幼くして一家離散の憂き目に
Cartouche | 2009/07/07 8:49 PM
ラフマニノフ ある愛の調べ [DVD]美しく優雅な音楽映画は、良くも悪くも淡白だ。天才音楽家ラフマニノフの波乱の生涯を、虚実を交え名曲と共に綴る物語である。天才にインスピレーションを与えた3人の女性との愛が主軸で、音楽的情熱は深く描かれないため、物語の印象
映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP | 2009/07/07 11:39 PM
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