あず沙の映画レビュー・ノート

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震度0
2007  日本  国内TVドラマ  
作品のイメージ:切ない、ドキドキ・ハラハラ、ためになる
出演:上川隆也、國村隼、渡辺いっけい、西村雅彦

横山秀夫がまたもや組織の内部(今回は警察)を抉るように描いた、第一級の社会派サスペンス・ドラマ。震度6の激震が阪神・淡路地方を襲ったさなか、N県警本部の警務課長である不破(西村雅彦)が消えたとの連絡が、不破の妻(余貴美子)から警務部長の冬木(上川隆也)に入る。県警の事情に精通し人望も厚く真面目な不破が、いったいなぜ姿を消したのか・・?失踪するはずのない県警幹部が突如として姿を消し、舞い戻るはずのないある犯罪者が戻ってきた。キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交錯する・・。個人の保身や組織の面子ばかりを考える幹部は、それぞれいったいどのような動きをするのか・・?

 

キャリアを頂点とする権力闘争の縮図のような警察組織。そこに六人の男たちの思惑が渦巻く。事件への関与が疑われ自分の保身のことばかりを考えている椎野本部長(渡辺いっけい)、組織のナンバー2でありそれを鼻にかけている若きエリートの冬木警務部長、ノンキャリアの叩き上げでノンキャリアとしての最高峰の地位まで上り詰めた藤巻刑事部長(國村隼)、隠れた野心家である間宮交通部長、震災への援助部隊の指揮をとる実直な準キャリアの堀川警備部長、女好きの倉本生活安全部長、そして失踪した不破警務課長の六人だ。なお、キャリア組は、椎野本部長と冬木警務部長の二人。この六人の男たちに、女を武器に情報を収集する総務課秘書の佐和子(戸田菜穂)、組織で働いたことがあり組織内部のことにある程度精通している不破の妻の静江や、その他の妻たちまでもが絡んでくる。

 

それにしても、なんと皮肉なタイトルなのだろう。震度6の地震でたくさんの人が亡くなっている中、「どうでもよい」個人の利害ばかりを考えて動く警察幹部たちを風刺したものと思われる。冬木の口から「真実はわかった。しかし、正義が見えてこない」という言葉が語られるのだが、まさに横山秀夫がこの小説を通じて訴えたいことが、この言葉に凝縮されていると言えるだろう。保身、野心、天下りへの固執、不倫、組織を守るための事実の歪曲・・。しかし、これは警察への風刺だけに留まらず、人間が形成する組織というものへの風刺なのだと思う。

 

ラストは観客に問題提起をするかたちで終わっていて、原作とは若干違う。本作も同じ「ドラマW」である「ルパンの消息」に、負けず劣らず上手くまとまっている。それぞれの思惑と徐々に明らかになっていく真実が、絶妙に絡まりながらのストーリー展開。警務課長を探すにあたってのそれぞれの立場をふまえての心理戦が繰り広げられるわけだが、その過程が丁寧に描かれているといった印象。脚本も秀逸であるが、キャスティングも言うことなし。警務部長と対立する刑事部長役の國村隼の渋い演技、余貴美子の円熟した演技、渡辺いっけいのちょっとコミカルな部分もある多面性のある演技などなど、豪華なラインナップとしか言いようがない。

 

長いカメラ回しという特徴もあるのか、ラストまで一気に作品に引き込まれるような感じ。スクリーンから炸裂するような熱い闘いに圧倒されるような作風は、他の横山秀夫原作の映画やドラマに引けを取らない。クオリティという面でも、他の作品と肩を並べている。横山秀夫原作の作品は、「半落ち」「クライマーズ・ハイ」「ルパンの消息」を観た後での鑑賞となるので本作で4作目になるのだが、どれもハズレがないところが凄い。原作では、官舎という面から女性の手のひらでコロコロと操られる男たちが描かれているが、本作ではその部分は思い切って割愛し、組織内のドロドロした部分にテーマを絞ったのが、本作を良作に導いたカギと言えるのでは。★3.8

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【2007/08/12放送、WOWOW】監督:水谷俊之原作:横山秀夫 『震度0』(朝日新聞社刊)出演:上川隆也、國村隼、渡辺いっけい、升毅、斉藤暁、矢島健一、石井正則、田中哲司、松重豊、平山あや、戸田菜穂、西村雅彦、余貴美子1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生した
映画鑑賞★日記・・・ | 2009/06/23 10:10 AM
 

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