あず沙の映画レビュー・ノート

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情愛と友情
2008  イギリス  洋画  ドラマ  文芸・史劇  
作品のイメージ:切ない、おしゃれ
出演:マシュー・グード、ベン・ウィショー、ヘイリー・アトウェル、エマ・トンプソン


英国の由々しき文芸ドラマで、英国貴族の豪華な生活を垣間見ることができ、かつ映像美も堪能できた作品。イギリス文学の傑作「ブライズヘッドへの再訪」(原作の邦訳版は、「ブライヅヘッドふたたび」や「回想のブライズヘッド()(下)」となっているようですが)は、TVドラマ化され、その後に映画化されたもの。第二次大戦中のイギリス。チャールズ・ライダー大尉(マシュー・グード)は、かつて自身が共に青春時代を過ごしたセバスチャン(ベン・ウィショー)の実家であるマーチメイン侯爵家の館にて追憶に浸るところから、ストーリーは始まる。オックスフォード大学に入学したチャールズは、貴族の息子のセバスチャンと意気投合、セバスチャンの実家ブライドシェッドを訪れることに。セバスチャンとチャールズはお互いに、友達以上の感情を抱いていくようになっていた。しかし、チャールズは、セバスチャンによく似た妹のジュリア(ヘイリー・アトウェル)にも魅力を感じ、ジュリアもチャールズに魅かれていく。そして、セバスチャンとジュリアの父親に合うためにヴェニスに旅に出た三人に、運命のターニング・ポイントが訪れる・・。

 

熱心なカトリック信者である母(エマ・トンプソン)の呪縛から解き放たれることのない兄と妹、そして無神論者のチャールズ。礼拝堂もある広大な屋敷に住む他者を寄せ付けない敬虔なカトリック一家と、貧しい家の出のチャールズ。登場人物の心情に肉薄するようなタッチで、それぞれの心の動きが精緻に描き出されている。派手なカメラワークではないが、罪悪感や心の機微が観客にダイレクトに伝わってくるよう。家庭のありようが子供にどれだけ影響を及ぼすのか・・母親のプレッシャーから逃れることができずに人生のレールを外してしまったセバスチャンが切ない。親の締め付けによって、子供の未来は変わってしまうものなのだ。厳格なカトリックの教えと同性愛の間で、凄まじい葛藤に苦しむセバスチャン。感情と理性の狭間で揺れ動く彼の様子は、時にはやるせないと同時に美しさをも放ち、ある種のテンションを高めている。

 

ブライズヘッドは、同じヨークシャーにあるハワード城が舞台として使われたよう。その他にも、オックスフォード、ヴェニス、モロッコでのロケにより、すばらしい映像を楽しむことができる。特に、ヴェニスでの熱気溢れるカーニバルやモロッコのバヒヤ宮殿については、まるでその地に旅行しているよう。また、ハワード城の中の彫刻や庭にある噴水など芸術品と言える品々が、細部まで余すところなく撮られている。そして、チャールズが記憶を辿っていることを示すような光をうまく使ったカメラワークが、幻想的な雰囲気を醸し出している。ブライズヘッドは美しく、豪華なのだが、時には兄と妹から自由を奪ってしまうという邪悪な一面も。ハワード城は部分的に公開しているようだが、TV版が公開されてから35%も訪問者が増えたのだとか。衣装も役作りの一環であると言い切るスタイリストの言葉通り、その時の状況や登場人物の気分によって衣装もそれに合うものにされた工夫が施されている(日本未公開の作品ですが、公開していたら劇場で鑑賞したかったです)。

 

子供の頃の教えや宗教のせいでどうしても越えることのできない壁があるのだと感じたとともに、経済的に心配のない(というか豪華すぎる)生活をしていても、心が何かに束縛された状態だと幸せだとは言えないのだな・・なんて切ない気持になった。セバスチャンのやるせなさは痛々しいほど伝わってきたのだが、その分チャールズとジュリアの関係の描き方が希薄だったのが残念。幸せだったときの回顧シーンとして、もう少しロマンティックな演出を期待していた。★3.3

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