あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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BUG/バグ
2007  アメリカ  洋画  ミステリー・サスペンス  
作品のイメージ:笑える、ドキドキ・ハラハラ
出演:アシュレイ・ジャッド、マイケル・シャノン、リン・コリンズ、ハリー・コニック・Jr


イメージとしては、「笑える」プラス「ドキドキ・ハラハラする」作品。つまり、あまりの異常さに笑ってしまうというもの。舞台は、アメリカのオクラホマ州。バーで働くアグネス(アシュレイ・ジャッド)は、最近仮釈放された元暴力夫から逃れるように、モーテルで暮らしていた。アグネスは、友人のRCからピーター(マイケル・シャノン)を紹介され、アグネスとピーターは次第に互いに打ち解けていく。そして、二人は一夜を共にすることに。ピーターはアグネスのモーテルの部屋に虫がいることにこだわり、殺虫剤を買ってきて虫を一掃すると言い出す。アグネスには見えない虫だったが、やがてアグネスも・・。

 

狭いモーテルの中での密室劇ではあるが、カメラ・アングルにこだわって撮られていて、臨場感たっぷりの仕上がりになっている。後半のアシュレイ・ジャッドとマイケル・シャノンの狂気じみた演技は、物凄い迫力。マイケルは、最近見たことがあるなと思ったら「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」にも出演していて、そちらでも「正気の沙汰じゃない」役をこなしている。ピーターはいわゆるパラノイア(妄想症)で、虫が自分の体内で巣作っていると思い込んでいるのだが、その精神的な病いを「悲しく」または「怖く」描いたのでは、ありきたりになってしまう。ピーターの狂気を観客が笑ってしまうほど異常にまで見せているところが、本作の髄ではないだろうか。テンポもよく、ラストに向かって勢いは加速していく展開は、観客を飽きさせない。

 

誰にでも「思い込み」や「こだわり」があり、それがエスカレートすることはあり得る。過去自分に起こった不幸な出来事と、現在自分に起こっている事象を関連付けてしまうことも・・。特に、アグネスは過去に息子を失った悲しみと、現在も元夫から逃れようとしている精神的不安定な状態にあるため、ピーターに同調することで彼女は安定を求めたとも言えるだろう。まさに、妄想の世界に逃げ込んだわけである。そして、二人のお互いの相乗効果により、妄想に歯止めがかからなくなるわけで・・。いちばん、冷静に現実を見つめているのはRCであるはずなのに、二人によってRCが結局悪者にされているところは、もう狂気を極めているとしか言いようがない。

 

ピーターが「湾岸戦争症候群」であるということが観客の立場からわかってしまうのだが(ここは、さすがに笑えません)、これが本作の顚末を暗示する伏線となっている。ピーターがまず虫音だと思ったのは天井の煙感知器・・ここにも、これからエスカレートするであろう彼の妄想の世界が示唆されている。そう考えると、あの無言電話は本当に鳴っていたのか・・とか、その無言電話が元夫からの電話だと「思い込んでいた」アグネスも、もともと精神的に正常な状態ではなかったのでは・・とか、いろいろ考えられる。もしかして、ピーターの存在自体すら、アグネスの妄想だったりして・・。BUGというタイトルはコンピュータを破壊するバグと虫のバグをかけているそうだが、そう考えるとピーターがお医者さんに「マシーン、マシーン!」と叫んでいたところにもブラックな意味があるような。

 

なお、特典映像の監督へのインタヴューについては、映画全般、特に1970年代からの映画史について述べたものなので、本作の内容について語られているものではない。もう一つの特典映像であるメイキングについては、スタッフや出演者の口から若干作品のことについて語られているが、作品の内容をダイジェストするに留まっている。結構時間を割いているわりには、内容を深く掘り下げているでもなく、主に監督の御託を聞かされただけに終わってしまった(←自分のレビューの御託はどうなんだ!・・とセルフ・ツッコミ)。作品的には、二人の熱演もあり★3.7くらいなんだけど、長い特典映像を観てしまって時間を無駄にした感があるので▲0.3。で、総点は★3.4
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 共依存による悲劇。 出会ってはいけなかった二人。 アグネスがピーターに影響されているのは明らかなのだが、 アグネスであった為に行き着いてしまった悲劇だ。 アグネスは元夫にDVを受けていた。完全に寄せ付けない方法はいくらでも
NOHOHONブログ | 2009/06/18 12:16 PM
公式サイト。ウィリアム・フリードキン監督、アシュレイ・ジャッド、マイケル・シャノン、リン・コリンズ、ハリー・コニック・Jr。英語のbugにはシラミなどの虫、盗聴器などの意味があるけれど、両方の意味が掛け合わされて出来上がったような映画。ホラーと思いきや、
佐藤秀の徒然幻視録 | 2009/06/18 12:33 PM
私も虫はダメだ…。要するに分裂症妄想にある男の狂気世界に引き込まれる女性の物語です。 狂気は伝染するのか、むしろ異常に虫を怖がる男と孤独な女、この2人が出会うことで倍加されたのか。もともとそれぞれの世界の中ではすでに精神不安定の部分があったんですよ
いやいやえん | 2009/06/18 1:53 PM
原題:BUG公開:2008/07/05製作国:アメリカR-15上映時間:102分監督:ウィリアム・フリードキン出演:アシュレイ・ジャッド、マイケル・シャノン、リン・コリンズ、ブライアン・F・オバーン、ハリー・コニック・Jr人間が人間でいられなくなる──+あらすじ+アメリカ
映画鑑賞★日記・・・ | 2009/06/18 2:00 PM
67.バグ■原題:Bug■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:102分■鑑賞日:8月1日、シアターN(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ウィリアム・フリードキン□脚本・原案:トレイシー・レッツ□製作:ホリー・ウィーアズマ、キンバリー
KINTYRE’SDIARY | 2009/06/18 9:17 PM
BUG/バグ低予算ホラーと舞台劇の映画化の悪いところがすべて出ている。孤独な女性アグネスは、恋人ピーターの「自分の体内に虫がいる」との言葉から、次第に狂気と妄想の世界へと取り付かれていく。この密室心理劇では、虫は一瞬顕微鏡で映るだけ。名手フリードキンなら
映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP | 2009/06/18 11:53 PM
JUGEMテーマ:映画 制作年:2007年  制作国:アメリカ  上映メディア:劇場公開  上映時間:102分  原題:BUG  配給:アミューズ  監督:ウィリアム・フリードキン  主演:アシュレイ・ジャッド      マイケル・シャノン      リン・コリン
La.La.La | 2009/06/19 5:09 PM
私の中に虫がいる!  アメリカ郊外オクラホマ州。レストランバーでウェイトレスをするアグネスは、息子を失い、心に傷を負っていた。そして最近仮釈放された元夫ジェリーの暴力から逃れるため、一人でモーテル暮らしをしていた。そんなある日、同僚の女性RCからピー
CINECHANの映画感想 | 2009/06/22 1:25 AM
 

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