あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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ルパンの消息
2008  日本  国内TVドラマ  
作品のイメージ:感動、泣ける、切ない、ためになる
出演:上川隆也、岡田義徳、佐藤めぐみ、柏原収史

これほどまでに完成度の高いTVドラマは、あまり観たことがない。ベストセラー作家である横山秀夫の処女作をWOWOWがドラマ化した作品。15年前に自殺と断定された女性教師の墜落死は実は殺人事件だったという一本のタレ込みがあったことから、物語はスタートする。「ルパン作戦」と称して、深夜の学校に忍び込んだ男子生徒三人組が事件に絡んでいるというのだ。「ルパン作戦」とはいったい何なのか・・?時効成立まで、あと24時間。三億円事件で最後の容疑者を取り調べたが時効成立のため追い込めなかった溝呂木刑事(上川隆也)が、今回の事件捜査の指揮をとることに・・。

 

1990年とその15年前の1975年がシンクロするかたちで、ストーリーは展開される。1990年のパートでは、ほとんどのシーンが取調室。問題の男子生徒だった三人の一人一人と、担当刑事との心理戦がメインとなっている。1975年のパートについては、男子生徒らの供述によって、15年前に何があったのかがそれぞれの視点から語られる。そして、ラストではパズルの断片が繋がり、ある一つの事実へと・・。二転三転するストーリー展開、そして涙なしには観れないラスト・・。何かを書くとネタバレになる可能性があるので、具体的なことはあまり書けないが、まず真犯人役の人の怪演が光っているということ、三億円事件をも取り込んだ複眼的ミステリー・ドラマに仕上がっているということ、斬新なプロットに加えて「泣ける」作品であるということ、思わぬ細かい部分にバック・ストーリーが隠されているということ・・などが特筆すべき点だと思う。

 

「半落ち」「クライマーズ・ハイ」にあるような重厚さはあまり感じられず、「ルパン」という名前の喫茶店からもわかるように、昭和の香りのする軽妙な筆致で書かれたのであろう原作の一端が窺える(原作は未読なもので・・)。良い意味で、横山秀夫の若さと勢いが感じられるプロットと言えるだろう。これを118分のドラマにまとめているのは、凄いと思う。最初は「もしかして、青春もの・・?」と思いきや、中盤以降はまるで予想すらできない広がりを見せる。

 

セリフの中で出てくるがあまり説明がなくてピンとこなかったのが、「百合族」と「刑事訴訟法第255条」の二つ(但し、この二つは関連していません)。「百合族」とは、女性同士の同性愛者(いわゆるレズビアン)の昭和用語のよう。一方、「刑事訴訟法第255条」とは、「犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効はその国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する」というもの。また、刑法と民法では時効が違うということも、キーとなってくる(民法になると、警察の管轄外になりますが・・)。

 

ミステリー小説をドラマにした場合、どうしても中盤あたりで真犯人が見えてしまうことが多いのだが、今回は全くわからず(真犯人役の人の怪演にもかかわらず)、華麗なドンデン返しに見事に騙されてしまった。真犯人がわかった後に考えてみると、伏線の張り方もすばらしいが、その回収のしかたも感心してしまうほど上手い。原作もさることながら、ドラマ化する段階での脚本が効いているだろう。また、誰かを庇って自分一人で背負いこもうとする人たちの友情や愛情が豪華なプロットを通じて直線的に観客に伝わってくるところも、脚本力のなせる技なのだろうか。「ドラマW」と称されるWOWOWドラマのクオリティの高さを肌で感じ、しばらく「ドラマW」を続けて鑑賞してみたい気になった。★4.6

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内容1968年12月10日、3億円事件が発生した。そして、、、捜査が進まぬまま、1975年12月10日。巣鴨西警察署でひとりの容疑者を取り調べる溝呂木(上川隆也)。が、、、時効は成立した。その男・内海一矢(遠藤憲一)は、、、最後の容疑者だった。そして
レベル999のマニアな講義 | 2009/06/16 8:19 PM
2008/09/21放送(WOWOW)製作国:日本監督:水谷俊之出演:上川隆也、岡田義徳、佐藤めぐみ、新井浩文、柏原収史、吹越満、津田寛治、遠藤憲一、羽田美智子、長塚京三、塩見三省
映画鑑賞★日記・・・ | 2009/06/17 1:20 PM
 

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