あず沙の映画レビュー・ノート

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砂の器
1974  日本  邦画  ドラマ  ミステリー・サスペンス  
作品のイメージ:感動、泣ける、切ない、ためになる
出演:丹波哲郎、加藤剛、森田健作、島田陽子

何度観ても号泣してしまう作品。松本清張の同名傑作小説を原作に、野村芳太郎監督が映画化したヒューマン社会派ドラマで、言わずと知れた名作中の名作(なので、今さらあらすじをご紹介するまでもないのですが・・)。国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見されたところから、物語はスタートする。被害者の年齢は50-60歳だが、その身許が分からず捜査は難航を極める。そして、前夜蒲田駅前のバーで被害者と酒を飲んでいた若い男が、重要参考人として浮かび上がる。バーのホステスたちの証言で、二人の間に強い東北訛りで交わされていた「カメダ」という言葉が、捜査のキーとなってくる。「カメダ」とは、果たして人の名前なのか土地の名前なのか・・。警視庁刑事の今西(丹波哲郎)と西蒲田署刑事の吉村(森田健作)の両刑事は、唯一の手掛かりである「東北弁のカメダ」に望みを託すが・・。捜査本部解散後、被害者の身元が判明。今西は、その足取りを追って出雲、さらに伊勢へと足を伸ばす。やがて、被害者に繋がる一人の男が浮上する。その人は、天才音楽家として脚光を浴びている和賀英良(加藤剛)だった・・。

 

号泣したシーンは、本浦千代吉(加藤嘉)が秀夫の写真を見て「こんな人知らん」と嗚咽を噛み殺しながら泣くシーン。また、千代吉と秀夫を保護した巡査(緒形拳)が、二人が離れ離れになる前に抱擁するのを見て涙するシーン。最後の字幕に出てくる「現在では、ハンセン病は治療で治ります」という言葉の重みがズシリと心に響き、鑑賞後もしばらく涙が止まらなかった。それが不治の病であった時代に生きた人の本当の苦痛が伝わってきたと同時に、現在でも根強く残る偏見差別はハンセン病裁判勝訴の後でも、完全に消え去ることのないものではないのだろうか、と考えさせられた。本作自体が、その偏見差別を煽るものだと主張する人もいる。しかし、私はそうは思わない。本作があったからこそ、ハンセン病裁判勝訴に少しでも近づけたと言えるのでは。

 

音楽だけでも、聴き応えがある。日本の四季折々の美しい景色を背景に、壮絶な旅を続ける親子。そのバックに流れる音楽は、言葉にできないほどに美しい。サントラもあるようだが、その中の「ピアノと管弦楽のための組曲−宿命−」の第一楽章と第二楽章だけを特に聴きたかったので(この二曲が旅のシーンで流れる音楽です)、二曲だけシングル・カットされたCDを見つけて購入。なお、音楽監修は芥川也寸志、演奏は菅野光亮(ピアノ)と東京交響楽団(オーケストラ)。

 

「秀夫はお父さんに会いたかったのでしょうね」と聞く吉村に対し、「当たり前だ。でも彼は今音楽の中で父親に会っている」と言い放つ今西・・クライマックスの締めにふさわしいセリフだ。「会いたいが、どうしても会うことはできない」という価値観と、「あんな思いまでした親子なのに、なぜ会わないのか」という価値観のぶつかり合い。加藤剛は、出演シーンやセリフは少なめだが、クライマックスのコンサートでの演奏時の表情だけで、そこに至るまでの人生の厳しさを物語り、「会いたいが、どうしても会えない」意味をきっちりと表現している。(名作なのでツッコミを入れるのはかなり僭越ですが)、一つだけ納得が行かない点がある。和賀がなぜ接触することに同意したのか、である。戸籍も新しいものになっているわけだから、別人だと白を切り通すことだってできたはず・・(ネタバレぎりぎりです)。しかし、そんな細かいことが気にならないほどの傑作なので、この小さな綻び(?)を指摘したところで、単なる蛇足にしか聞こえないであろう。評価については、無論満点以上。
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コメント
from: エクスカリバー   2009/06/16 10:21 PM
先日観直した際に気付いたのですが、実は劇中で語られる和賀英良の過去というのは、全て今西刑事の推測上のものなんですよね。
実際の和賀の動機が何だったかは明らかにされていないので、作劇としてはおかしな部分もあります。
しかしそれを、画面の美しさと音楽の迫力、それに丹波哲郎の熱演という力技で収束させているのは、もしかすると反則なのかなぁと思ったりもしました。
from: あず沙   2009/06/16 11:08 PM
エクスカリバーさん>鋭いご指摘ですね☆ おっしゃる通り、今西刑事の推測による親子の旅の映像化になっていますね。逮捕されて自供による事実ではないので、被害者が父親に合うことを強制したのかどうかも、今西刑事の推測によるものだろうということになるのでしょう。でも、和賀の演奏のときの表情、父親と今西刑事が面会したときの状況、そして巡査の人柄を考えると、やはり今西刑事の推測はほぼ正しいのでは・・という気もいたします。
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