あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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コッポラの胡蝶の夢
2007  アメリカ  ドイツ  イタリア  フランス  ルーマニア  洋画  ドラマ  
作品のイメージ:癒される、切ない、おしゃれ
出演:ティム・ロス、アレクサンドラ・マリア・ララ、ブルーノ・ガンツ、アンドレ・ヘンニック

詩物語を映画化したような作品。1938年のルーマニア。70歳を迎えた言語学者ドミニク・マテイ(ティム・ロス)は、彼の最愛の女性ラウラ(アレクサンドラ・マリア・ララ)と別れ、すべてを捧げてきた言語の起源の研究すら全うできない自分の人生に絶望。誰も知らないところで自殺をしようと考えていた。しかし、駅から降り立ち、突然降り始めた雨の中傘を広げようとしたドミニクの身体に落雷が・・。落雷によって全身大火傷を負い、病院に運び込まれたドミニクは一命を取り留める。そして、10週間後にはすっかり元気になった上に、30代の若さにまで回復するという奇跡が起こる・・。

 

原題は“Youth without Youth” (若さなき若さ)で、どういう意味なのかチンプンカンプン。邦題となっている「胡蝶の夢」とは、中国の戦国時代の宋国に産まれた思想家である荘子による有名な説話で、「荘周が夢を見て蝶になり、蝶として大いに楽しんだところ、夢が覚める。果たして荘周が夢を見て蝶になったのか、あるいは蝶が夢を見て荘周になっているのか」というもの。この邦題から、ラストの締めが大体想像できてしまう。一体どこまでが現実でどこからか夢なのかわからない摩訶不思議なワールドがお好きな方は、楽しめるかもしれない。映像も、華やかで幻想的。舞台はルーマニア、スイスからインドやマルタ島に及ぶ。それらの風景も、素晴らしい。

 

しかし、中盤においては、輪廻転生やカルマなどの東洋哲学的な話が中心になり、これについて行ける人と行けない人で、作品の好き嫌いが大きく分かれてくると思う(ちなみに、私はついて行けず、途中何度も眠りに落ちてしまうことに)。『無為自然』(「作為を持たず自然に任せる」という考え方)や『一切斉同』(「全てのものは等しく同じ」という考え方)がベースになっていると思われ・・。インドの賢者がルピニに語る「形もなく、感情もなく、選ぶこともせず、何の意識もない。すべてが消え去る、はるか遠くに跡形なく。それが悟りなり。『無』とは深い言葉だ」が、これらの考え方を象徴していると言えるのでは。コッポラが東洋哲学を好んでいたことが窺える。

 

アレクサンドラ・マリア・ララの存在感が、光っている。彼女は、ドミニクのかつての恋人ラウラ、ドミニクがスイスの山で出会うラウラに生き写しの女性ヴェロニカ、そして何度も輪廻転生していく中でどこまでも古い言語に遡るルピニの三役を一人でこなしている。彼女自身がもともと美しい女優さんだが、コッポラは女性を美しく撮ることに長けていて、三人の女性をより美しく見せているのだと思う。

 

全体としては、メリハリがない。また、観る側のことを考えずに自分の興味のあるモチーフで作り上げた世界といった印象。発想は「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」を思わせる節があり、出だしはなかなか面白いかもと思ったのだが、中盤から映画を作る側の独自の世界が築かれており、観客にとってはあまり親切な作品ではないように思えた。なので、アレクサンドラ・マリア・ララのファンの方、東洋哲学に興味のある方、詩的な作品がお好みの方以外には、あまりおススメできない。また、東洋哲学も特に極めた上で制作されたという感じではなく、ただそれへの憧れからユニークな世界観を展開したような感じ。「三本の薔薇」についても、もう少し説明がほしいところ。★2.4

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巨匠フランシス・コッポラの10年ぶりとなる監督・脚本作。原作ものだが、奇しくも、この間観た「悲夢」と同じ、”荘子の胡蝶”の逸話にインスピレーションを受けている作品なので、胡蝶つながりで観に行った。 老いて、生涯をかけた研究が未完のまま死を待つだけの
シネマ大好き | 2009/06/14 3:19 PM
巨匠フランシス・F・コッポラ監督の10年ぶりという新作だそうです。私が最後に観たコッポラ監督の作品はたぶん「地獄の黙示録」かな?10年ぶりというのがピンとこないのはそれだけ監督の名前が偉大ってことなのかな?わざわざ邦題に監督の名前を入れちゃうくらいだもん
カノンな日々 | 2009/06/14 9:42 PM
3本目の薔薇はどこへ?  1938年ルーマニア。年老いた言語学者ドミニク・マテイは最愛の女性ラウラと別れてまで生涯を捧げてきた研究が未完に終わることを悟り、絶望していた。自殺を決意しブカレストの街を歩いていた彼は雷の直撃を受けてしまう。病院のベッドで
CINECHANの映画感想 | 2009/06/15 1:59 AM
10年ぶりの新作「コッポラの胡蝶の夢」、眠れる映画界の巨匠の創作意欲を目覚めさせたのは、“夢かうつつか”・・・荘子の「胡蝶(こちょう)の夢」にフランシス・フォード・コッポラ監督が挑戦したわけではない。 原作はルーマニア文学の巨匠ミルチャ・エリアーデ
パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ | 2009/06/17 6:08 PM
 

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