あず沙の映画レビュー・ノート

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クライマーズ・ハイ
2008  日本  邦画  ドラマ  
作品のイメージ:泣ける、切ない、スゴイ、ためになる
出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、山崎努

NHKで放映されたドラマを見逃してしまい、ドラマをDVDレンタルしようとしたら、前編と後編に分かれている。で、それなら映画で一気に観てしまおうということで映画の方を選択。事故当時、地元紙の社会部記者として取材に奔走した経験を持つ作家の横山秀夫が、17年の時を経て書き上げた小説を映画化したもの。1985812日、乗員乗客524名を乗せたJAL123便が、群馬県御巣鷹山に墜落した。前橋にある北関東新聞社では、悠木(堤真一)が全権デスクに任命される。かつてない未曾有の大惨事に、地元の報道機関としてのプライドを懸けた彼らの壮絶な戦いが幕を開けようとしていた・・。

 

悠木の全権デスクとしての誇り・苦悩・苛立ち中心に、県警キャップの佐山(堺雅人)による想像を絶する現場取材、かつて連合赤軍事件や大久保事件を取材して以来社内でにらみを利かせている社会部部長の等々力(遠藤憲一)や編集局次長の追村(蛍雪次朗)らの嫉妬や確執も織り交ぜながら、広告局や販売局との軋轢をも描いている。それぞれの立場からのせめぎ合いが、物凄い迫力で観る者を圧倒する。締め切りを何時まで伸ばせるか、広告あっての新聞なのか、販売あっての新聞なのか、編集あっての新聞なのかというスタンスから、互いに衝突し社内に怒号が飛び交う。しかし、壮絶な火花を散らしながらも、最後は心を一つにして紙面を作り上げていくという「ブンヤ」魂が強烈に炸裂する。

 

「半落ち」では警察という組織、そして本作では新聞社という組織・・どちらも「組織と人の対立」を、事件や事故を通して鋭く抉っているのではないだろうか。悠木は、遊軍記者(特定の担当を持たず、緊急時など迅速に取材に当たるための記者)であり、組織内の権力構造からは距離を置いた存在と言える。そんな悠木が部長や次長に抗ってまで、自分の信念を貫く熱血漢ぶりは、見ていて気持ちが良かった。横山秀夫原作の映画は「半落ち」に続きまだ二作目だが、他の作品もあまり間を空けずに鑑賞してそれぞれの比較をしてみたい気持ち。

 

本作では、「新聞」自体についても考えさせられる内容だった。一面に何を載せると新聞が売れるのか、自分の担当している記事のために紙面のスペースをいかに確保するか、他社がスクープした記事を後から掲載するのは会社の恥と考えるのか・・そんなことはどうでも良いことなのだ。要は、読み手が何を知りたいのか、である。本作では、遺族の方々が地元新聞社に求める情報は何なのか、が最も重要なのだ。遺族が地元の新聞を求めて北関東新聞社に直接訪れてきたのに対して、悠木が新聞を一部ずつ手渡したシーンには、心打たれた。

 

映画自体については、現在と過去(事故当時)の記憶が交錯するかたちで展開される。しかし、この現在と過去のシンクロは、果たして必要だろうか?映画において、「現在」がどのようなポジショニングなのかがいま一つ理解できず、いっそのこと事故当時のストーリーに絞った方が、横山秀夫のメッセージがより凝縮されたかたちで観る者に伝わったのではないかと思う。そもそも「クライマーズ・ハイ」の 意味は、「登山中に興奮状態が極限にまで達し、恐怖感が麻痺すること」らしい。そして、この麻痺が切れた時には恐怖感がどっと襲ってきて、それに耐えられなくなるそう。悠木、いや悠木も含めた事故当時の記者全員の様子を暗示しているようで、よく練られたタイトルが作品をより骨太なものにしている。

 

まだ子供の頃だったが、「羽田発大阪行きJAL123便の機影がレーダーから消えました」というニュースの一報が、未だに記憶に残っている。

(末筆ながら、この事故でお亡くなりになった方々のご冥福を、あらためてお祈り申し上げます。)★4.3
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コメント
from: 通りすがり   2010/01/20 1:09 AM
はじめまして、通りすがりのものです。
「クライマーズ・ハイ」ですが、
NHKのテレビドラマ版も是非見てください!
見てもらえれば、私がここにコメントした理由が
わかってもらえると思います。
ではでは。不躾に失礼しました。
from: あず沙   2012/04/03 12:14 PM
はじめまして。
NHKのドラマ版は、確か前篇・後篇分かれてるんでしたよね。また時間のあるときに、観てみたいと思います。
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走り、叫び、書いた。新聞記者たちの激動の一週間!ソニー・ピクチャーズエンタテインメクライマーズ・ハイ デラックス・コレクターズ・エディション 映画の話 1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が起こった。前橋にある北関東新聞社
masalaの辛口映画館 | 2009/06/12 7:51 PM
世界最大の航空機事故と呼ばれた御巣鷹山の日航機墜落事故を扱うこととなった地方新聞社の記者たちを描いた本作。原作を書かれた横山秀夫先生ご自身も当時の事故を地方記者として取材されたご経験があるそうで、新聞社内の確執や一面に何をもってくるかの駆け引きは面白
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みはいる・BのB | 2009/06/12 8:25 PM
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カノンな日々 | 2009/06/12 9:19 PM
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佐藤秀の徒然幻視録 | 2009/06/12 9:54 PM
クライマーズ・ハイ HP http://climbershigh.gyao.jp/ 映画を観ながら、あの1985年8月、ボクは何をしていたのだろうかと思いめぐらす。日航飛行機事故のニュースは衝撃であり、テレ
Art- Mill | 2009/06/12 10:09 PM
監督・脚本:原田眞人原作:横山秀夫脚本:加藤正人、成島出出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努公式サイトはこちら。<Story>1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が起こった。前橋にある北関東新聞社では、白河社
NiceOne!! | 2009/06/12 11:02 PM
 代休をとって映画三昧!と思っていたのですが、暑くて出かける気にならなかったので夕方から。。。と言うわけでクライマーズ・ハイを観てきました。
よしなしごと | 2009/06/12 11:21 PM
上映時間は、145分の長尺。 1985年に御巣鷹山に墜落したジャンボジェット機、それを追う地元の一地方新聞社で働く彼らの、葛藤を描いた作品です。ジャーナリズムとは如何なる物か?を問うている作品かと。 新聞社だって、一企業、収入がなければ、成り立たない
Beinthedepthsofdespair | 2009/06/13 12:56 AM
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オールマイティにコメンテート | 2009/06/13 1:04 AM
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ノルウェー暮らし・イン・London | 2009/06/13 6:47 AM
『クライマーズ・ハイ』 デラックス・コレクターズ・エディション [DVD] 原作 横山秀夫 監督:原田眞人 出演:堤真一 、堺雅人 、尾野真千子 、高嶋政宏 、山崎努 2008年/日本/145分 おはなし Yahoo!映画 1985年8月12日、乗員乗客524名を乗せ
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ダイターンクラッシュ!! | 2009/06/13 3:27 PM
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2008/07/05公開(07/05鑑賞)製作国:日本監督:原田眞人出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努、遠藤憲一命を追った、あの夏。
映画鑑賞★日記・・・ | 2009/06/14 11:46 AM
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アロハ坊主の日がな一日 | 2009/06/15 12:44 AM
1985年8月12日。群馬県の北関東新聞社に、航行中のジャンボが消息を絶ったという一報が入る。編集部の悠木は社長からこの事件の全権を命じられ、すぐさま部下の佐山を現場に向かわせる。前代未聞の航空事故、上層部からの圧力、他部署との対立、社長の思惑。
5125年映画の旅 | 2009/06/18 6:35 AM
 

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