あず沙の映画レビュー・ノート

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類人猿ボノボの棲む森で
2006  日本  その他  教養・ドキュメント  
作品のイメージ:泣ける、かわいい、切ない、ためになる
出演:伊谷原一

コンゴ民主共和国に棲息する初期の人類にもっとも近い類人猿・ボノボ、内戦によって荒らされた森やボノボの森の近くに住む地元の人々の様子に密着した切ない報道ドキュメンタリー。コンゴの赤道州ワンバにおいて、20年以上にわたりボノボについての研究が続けられている。その研究者の一人伊谷原一氏によるボノボの保護活動・研究やワンバの人たちとの触れ合いの様子が、72分という短い時間にまとめられた作品。

 

人間と98%以上同じ遺伝子を持った人間に最も近い類人猿ボノボ。ワンバの人たちは自分たちの祖先はボノボだと信じていて、ボノボとの共存を何よりも大切に考えている。しかし、内戦が勃発し、兵隊たちに食糧として捕獲することを強制されてしまうといった悲劇が起こった。また、研究に協力してくれたお礼として、伊谷さんたちが供給した医療施設や医療器具も、内戦で破壊され全く使用不可能な状態となっている。人間同士は、なぜ争ってしまうのか?なぜ人間集団と人間集団は、いつもぶつかり合っているのか?

 

500万年前に人間と袂を分かったボノボたちは自分たちの森で生活するようになり、人間との争いを避けてきた。知能が高く、多様な性行動でコミュニケーションを取り、暴力を回避し決して同種を殺し合うことのない平和で温和なボノボ。ボノボの集団と集団は、人間と違って争いを起こすことは見られない。そして、集団が温和なのは、比較的女性上位という傾向によるものが大きいのではないかと考えられている。伊谷さんたちは、この限りなく人間に近いボノボの生態から、私たち人間が学ぶべきことを研究しているのだ。

 

しかし、ワンバの人たちは、「(内戦の影響で)食べ物がない、着る服がない、あなたたち日本人は人間よりもボノボの方が大事なのか?」と伊谷さんに詰め寄る。伊谷さんは、ボノボの研究がいかに私たち人類の平和にとって重要なものかを力説するのだが、わかってもらえない・・そんなジレンマも。確かに、ワンバの人たちを救うことが喫緊の問題であるかもしれない。ボノボの生態研究には時間がかかるし、保護活動には資金もかかってくる。一方で、内戦が終わった今も、密猟などのためにボノボは絶滅の危機に瀕しているという状態。どうにかしなければ・・。

 

伊谷さんが飼っているボノボの赤ちゃんボン君が超かわいい!でも、ボン君は・・。特典映像では、このボン君の映像をたっぷりと観ることができる。また二つ目の特典映像では、キンシャサ郊外にあるボノボ保護センターの様子とボノボの生態について、詳しく説明している。どちらも、本編の後に観てボノボについてより詳しく知るための内容となっている。

 

人間に平和の大切さを教えてくれるかもしれないボノボが、人間の引き起こした内戦によって絶滅の危機に晒されているという皮肉な結果にやるせなさを感じたのと、「自分にできることは何なのか?」「自分はこの現実に対して無力なのか?」と自問してしまった。人間の仕掛けたワナによって腕を怪我した母親のボノボが自分の赤ちゃんを抱くことができない映像には、胸が抉られるような悲しみを覚えた。また、内戦の後の変わり果てた森の様子が衝撃的。悲しく、切ない気持にさせられるドキュメンタリーであるが、一人でも多くの方に観ていただきたい作品(という意味で、高評価をつけます)。なお、本作は、第41回米国ヒューストン国際映画祭ネイチャー&ワイルドライフ部門で金賞を受賞している。★3.5

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