あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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ランジェ公爵夫人
2006 フランス イタリア 洋画 ドラマ 文芸・史劇
作品のイメージ:切ない、おしゃれ
出演:ジャンヌ・バリバール、ギョーム・ドパルデュー、ビュル・オジエ、ミシェル・ピコリ

「恋の駆け引き」なんて言うと、なんとなくシェークスピアを連想してしまうが、本作はバルザックの小説を映画化したもの。ナポレオン軍の英雄モンリヴォー将軍は、突然消息がわからなくなったランジェ公爵夫人/アントワネットを探し続けていた。5年前毎夜舞踏会が開かれる華やかなパリの社交界で、モンリヴォー将軍とアントワネットは出会い、お互いに魅かれ合った。気位の高いアントワネットはモンリヴォー将軍の求愛をかわして、思わせぶりな態度をとりながら彼を翻弄させる。しかし、あることをきっかけに、モンリヴォー将軍との恋に溺れていったのは、アントワネットの方であった。しかし、結局・・。

最初は優位に立っていたはずのアントワネットがモンリヴォー将軍に心を奪われていく様子は、引き込まれるように見入ってしまった。自分に屈服していたはずの男性・・その男性との心理的力関係がある日逆転し、男性がその時から手のひらを返したように冷たくなってしまったら・・。不安になると同時にどんどんその男性への想いが募るというあたりは、アントワネットにすごく感情移入ができた。恋愛とは、相手を縛りながら、自分も縛られるものなのだ。相手を翻弄しているはずが、結局自分が翻弄されていることに。

冒頭のマヨルカ島修道院でのミサをしてシーンで、モンリヴォー将軍がアントワネットに「あなたは、かつて私のものだったのに!」と叫ぶのだが、男性ってやはり征服欲というか「昔自分のオンナだった」(表現が不適切だったらスミマセン)という思いが強いのかなぁ・・なんて普遍的な男女の関係についてまで、深く考えてしまった。そういう意味では、モンリヴォー将軍は、すごく男性的なのだと思う。かたや、女性はと言うと、軽く見られたくないという思いから最初は屈することはなくプライドを高く保ち続けていても、「彼のものになった」(身体的な意味ではなく)と感じた瞬間から従順になり、愛にのめり込んでいってしまう。しかし、最後の最後まで、ある種のしたたかさは持ち続けるもの。

登場人物も少なく二人の対話が中心なので、映画よりも演劇に向いているとも言えなくはない。しかし、美術はすばらしく、豪華な衣装や当時の社交界の華やかさが堪能できる。また、修道院のあるマヨルカ島の風景も美しい。原題の意味は、「斧に触れるな」。本作において「斧」が指すものとは・・?ラストのシーンで、モンリヴォー将軍がつぶやく言葉がとても印象的。この言葉で、二人の愛が成就するかどうかはもはや本作のテーマではなく、二人の恋愛の過程こそが人生そのものなのだと感じさせられた。斧の触れることなく貴族社会で円満に生きていくこともできたはずの二人が、斧に触れてしまったために・・。

「駆け引きの過程が長すぎる」、「じれったい」、などという酷評もあるのようだが、私的には忘れることのできない作品。二人のセリフや表情、身のこなし方一つ一つから、愛の魔力に取りつかれた男女の想いが溢れ出ているように思えた。★3.9
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19世紀初頭貴族社会を舞台に、恋多き公爵夫人と無骨な将軍との運命を描いた文芸作品が原作。ジェラール・ドパルデューの息子さんが将軍を演じてました 舞踏会の華ランジェ公爵夫人は、無骨な軍の英雄モンリヴォー将軍と出会う。惹かれあう2人はつまりはすれ違うんで
いやいやえん | 2009/06/01 7:26 PM
セリジー伯爵夫人邸での舞踏会で出会ったアントワネット・ド・ランジェ公爵夫人(ジャンヌ・バリバール)とアルマン・ド・モンリヴォー将軍(ギョーム・ドパルデュー)。公爵夫人が将軍に目をつけて近づき、アフリカで捕虜になって帰還した話を聞かせてくれとせがむ。
シネマ大好き | 2009/06/01 7:29 PM
交わされる言葉の紡ぎだす官能と悦楽、息詰まるような愛と途方もない情熱。 そして、業火の苦しみ__恋愛心理の不可解さ、愛の魔力に翻弄される。 物語:1823年、ナポレオン軍の英雄アルマン・ド・モンリヴォー将軍は、スペインのマヨルカ島にあるカルメル会修道
パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ | 2009/06/01 9:00 PM
ランジェ公爵夫人 [DVD]逃げては追い、追っては逃げる有閑階級の恋のゲームを、仏映画らしい会話で描く恋愛手引書のような作品だ。無骨な軍人を弄ぶつもりだった社交界の花形夫人が本物の愛に目覚め苦悩する。徹頭徹尾、恋愛の真髄を追求するが、ゲームの支配者が入れ替
映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP | 2009/06/01 11:30 PM
 「緊張にみちみちた恋の駆け引き」という謳い文句も、先行きが見通せる平凡な劇にしか見えなかった。原作はバルザック。時代はナポレオン帝政以降の19世紀前半が舞台。社交界の華、ランジェ公爵夫人・アントワネットがナポレオン時代の英雄、モンリヴォー侯爵・アルマ
After the Pleistocene | 2009/06/01 11:46 PM
ここに出てくる恋愛は、まるで負けるわけにいかないゲームのようなもの。だけど、恋心より理性が負ける時が来たら、それに命をかける。挙句、殉死する・・・。
レザボアCATs | 2009/06/02 1:08 AM
 

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