あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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THE ダイエット!
評価:
コメント:2007 オーストラリア 洋画 その他 出演:関口祐加

夏に向けて自分も少しダイエットしなきゃと思い、借りてみました。ダイエットを考えている方には、「ためになる」作品だと思います。23歳のときにオーストラリアに移り住んだ関口さんが、減量に取り組む様子を自ら映したドキュメンタリーです。エステやジム、精神科医、美容整形外科などを訪ね歩き、その一部始終が収録されています。原題の”Fat Chance”は、「見込み薄」っていう意味のようですね。ちょっと自虐的(?)なタイトルだけど、関口さんのユーモアのセンスが光ってます。

 

関口さんは、日本よりも太めの人が多いオーストラリアという環境、そして結婚生活の破綻などの原因から90キロ以上に太ってしまいダイエットを決意するわけですが、まず監督でありヒロインである関口さんが前向きでとても明るいのです。全然自分を飾ることをせず、まさにあるがままの自分を映し、体当たりでダイエットに臨む姿に非常に好感が持てます。また、ダイエットに取り組む人に、勇気を与えてくれます。なので、「切なさ」や「滑稽さ」は、まるで感じられませんでした。

 

但し、精神科医の言葉には、かなり引いてしまいました。「君の場合は太っている原因は、君の人生そのものにある。君はいったい何をしたいのか?日本人でありながらオーストラリアに住んでいて、離婚経験もある。それに亡くなった父親のことが、肥満に深く関係しているようだ」みたいなことを言われるのですが、おおらかな関口さんもさすがにこのセラピーの後は、落ち込んでいた様子…当然です!

 

90キロ以上あるわけだから、「痩せて何をしたいのか」なんて考える必要はないと思うんですよね〜。だって、それだけで体に負担がかかっているわけだから、「健康と美容のために痩せる」…それで十分だと思いますよ。というわけで、「ためになる」と思うのはあくまでも関口さんの前向きなダイエット生活であり、「自分の人生を見つめ直す」ことでダイエットするというのには、どうもわたしにはしっくり来ない感じです。

 

結局約16キロ痩せることに成功されましたが、やはりいちばん効果があったのは、)戎はやめる 筋トレと有酸素運動を続ける なのではないでしょうか?でも、急激なダイエットは危険ですから、ある程度の時間をかけることと(実際何カ月もかけられています)、食事も極端に減らしたり抜いたりしないことが、長い目で健康的なダイエットを成功させる秘訣である気がします。それに、関口さんの場合、やはり和食に切り替えたことも大きいでしょうね。ピザやチョコレートが大好きだった彼女ですが、それを我慢して家で和食をつくることでかなり摂取カロリーが少なくなったようです。

 

自らが被写体となり食について考えさせてくれるという意味では、『スーパーサイズ・ミー』とどこか似ている部分があります。ダイエット前に借りるか家に一枚買っておいて、食べたくなったときにこれを観るだけで効果がありそうです。関口さんの自分をさらけ出す勇気とポジティブな姿勢については★4なのですが、心理的アプローチについては★2くらいなので、総じて★3ということに。

精神
評価:
コメント:2008 日本 教養・ドキュメント

 岡山市のとある精神科診療所(「こらーる岡山」)での待合室の様子、スタッフとそこに来られる方々とのやりとり、診察の風景や出演されている方々へのインタビューを撮った想田和弘監督によるドキュメンタリー作品です。(「観察映画」とも呼ぶには、それはちょっと失礼な気がするんですよね〜)。そこに出演されている方々についてのナレーションなどは一切なく、日常が淡々と映されています。まず驚いたのが、モザイクがかけられていないこと。これは、撮影する側もされる側も随分と勇気が要ったことだと思います。

 

精神科に通院される方への偏見は、確かに存在します。それを、この作品では「カーテン」と呼んでいたのですが、カーテンの向こう側にいる人とこちら側にいる人…そういう感覚が、確かにあるのかもしれません。しかし、自分がこの作品を観ていちばん強く思ったことは、「じゃあ『普通』って、いったい何?」ということです。精神科に通う人たちを普通じゃない人とするならば、「普通」とはいったいどんな基軸なのでしょうか?

 

人にはそれぞれ個性があり、悩みもあり、弱いところもあり、傷つきやすい存在だと思うんです。悲しいことがあれば鬱状態にもなりますし、人の言動に神経過敏になることもあるでしょう。そのことによって、あまりにも苦しくなれば受診するのでしょうが、では受診したから「正常ではない」とは言えないわけです。精神科に通っていない人だって、偏った性格の人もたくさんいるでしょう。それを個性ととらえるかそうでないかは、人それぞれなのです。

 

おそらく50代くらいの男性の方(長年統合失調症を患っていると、おっしゃっていました)が、穏やかな様子で客観的に自分のことについて語っておられました。カメラがまわっているから、というのもあるかもしれませんが、とても心を病んでいるようには見えませんでした。

 

脳科学というとまだ未知の領域でもあり、精神科に通う方々への偏見もあり、カーテンの向こうのことという概念があるかもしれませんが、やはりそのカーテンを取っ払って、みんなで考えなければいけない問題という意識が広がって行くためにも、この作品の公開が大きな一歩になっているような気がします。しかし、鬱は移ると言われていますように、みなさんの世界にこちらも引き込まれそうになったというのも、正直なところです。

 

出演された方々の中に、お亡くなりになった方も何人かいらっしゃるようですね。ご冥福をお祈りいたします。いろんな意味で、興味本位で観るものではなく、真摯な姿勢で観るべき作品だと思います。

類人猿ボノボの棲む森で
2006  日本  その他  教養・ドキュメント  
作品のイメージ:泣ける、かわいい、切ない、ためになる
出演:伊谷原一

コンゴ民主共和国に棲息する初期の人類にもっとも近い類人猿・ボノボ、内戦によって荒らされた森やボノボの森の近くに住む地元の人々の様子に密着した切ない報道ドキュメンタリー。コンゴの赤道州ワンバにおいて、20年以上にわたりボノボについての研究が続けられている。その研究者の一人伊谷原一氏によるボノボの保護活動・研究やワンバの人たちとの触れ合いの様子が、72分という短い時間にまとめられた作品。

 

人間と98%以上同じ遺伝子を持った人間に最も近い類人猿ボノボ。ワンバの人たちは自分たちの祖先はボノボだと信じていて、ボノボとの共存を何よりも大切に考えている。しかし、内戦が勃発し、兵隊たちに食糧として捕獲することを強制されてしまうといった悲劇が起こった。また、研究に協力してくれたお礼として、伊谷さんたちが供給した医療施設や医療器具も、内戦で破壊され全く使用不可能な状態となっている。人間同士は、なぜ争ってしまうのか?なぜ人間集団と人間集団は、いつもぶつかり合っているのか?

 

500万年前に人間と袂を分かったボノボたちは自分たちの森で生活するようになり、人間との争いを避けてきた。知能が高く、多様な性行動でコミュニケーションを取り、暴力を回避し決して同種を殺し合うことのない平和で温和なボノボ。ボノボの集団と集団は、人間と違って争いを起こすことは見られない。そして、集団が温和なのは、比較的女性上位という傾向によるものが大きいのではないかと考えられている。伊谷さんたちは、この限りなく人間に近いボノボの生態から、私たち人間が学ぶべきことを研究しているのだ。

 

しかし、ワンバの人たちは、「(内戦の影響で)食べ物がない、着る服がない、あなたたち日本人は人間よりもボノボの方が大事なのか?」と伊谷さんに詰め寄る。伊谷さんは、ボノボの研究がいかに私たち人類の平和にとって重要なものかを力説するのだが、わかってもらえない・・そんなジレンマも。確かに、ワンバの人たちを救うことが喫緊の問題であるかもしれない。ボノボの生態研究には時間がかかるし、保護活動には資金もかかってくる。一方で、内戦が終わった今も、密猟などのためにボノボは絶滅の危機に瀕しているという状態。どうにかしなければ・・。

 

伊谷さんが飼っているボノボの赤ちゃんボン君が超かわいい!でも、ボン君は・・。特典映像では、このボン君の映像をたっぷりと観ることができる。また二つ目の特典映像では、キンシャサ郊外にあるボノボ保護センターの様子とボノボの生態について、詳しく説明している。どちらも、本編の後に観てボノボについてより詳しく知るための内容となっている。

 

人間に平和の大切さを教えてくれるかもしれないボノボが、人間の引き起こした内戦によって絶滅の危機に晒されているという皮肉な結果にやるせなさを感じたのと、「自分にできることは何なのか?」「自分はこの現実に対して無力なのか?」と自問してしまった。人間の仕掛けたワナによって腕を怪我した母親のボノボが自分の赤ちゃんを抱くことができない映像には、胸が抉られるような悲しみを覚えた。また、内戦の後の変わり果てた森の様子が衝撃的。悲しく、切ない気持にさせられるドキュメンタリーであるが、一人でも多くの方に観ていただきたい作品(という意味で、高評価をつけます)。なお、本作は、第41回米国ヒューストン国際映画祭ネイチャー&ワイルドライフ部門で金賞を受賞している。★3.5

シッコ
2007 アメリカ 洋画 その他
作品のイメージ:ためになる
出演:マイケル・ムーア

マイケル・ムーア監督がアメリカの医療制度の問題をWEBサイトで取り上げ、実際に寄せられた話をもとに制作したドキュメンタリー。先進国で唯一「国民皆保険制度」が導入されていない国、アメリカ。その実情に迫りながら、観客に問題提起するといった、まさにムーア監督的な作品。保険の加入を拒否される人、医療費が高すぎて払えなくなる人、治療が必要なのにもかかわらず加療してもらえない人の悲惨な状態が撮られている。医療費節約のために怪我をした膝の傷口を自分で縫う人が冒頭に出てくるのだが、これはあまりにもグロすぎて正視に堪えなかった。隣国であるカナダ、キューバやヨーロッパ諸国の恵まれた医療制度との比較もされていて、アメリカの医療制度が国民にとっていかに冷酷なものかがわかる。

しかし、内容自体はそれほど斬新なものではない。既にヒラリー・クリントンが問題視しているものなので、ごもっともなメッセージでしかない。驚愕の事実を鋭く抉ったドキュメンタリーとは言い難い。それに、9.11のボランティアの人たちの治療費免除認定の問題にまで話を膨らませているのだが、本作では純粋に医療制度の問題に焦点を絞った方がピントがぼやけなかったのではないか。あと、アメリカ人の平均寿命が他国に比べて短いのは、医療制度のせいだけではないと思う。「ファーストフード・ネイション」「スーパーサイズ・ミー」にもあるように、食の問題が大きく影響しているのでは。興味深かったのは、医療費個人負担をゼロにするために、隣国まで行きカナダ人と結婚を考える人が出てきたりするところ。そして「カナダ人を釣ろうぜ」というWEBサイトのURLをエンドロールで紹介している辺りは、ムーア監督のシニシズムなのだろう。

日本の医療制度は、今のところアメリカの医療制度に比べたらまだマシなのかもしれない。でも、将来こんな風になっていくのかと悲観してしまった。高齢化する社会、総合病院の医師数の減少、医療費個人負担の増加、国民健康保険の財政難、保険会社の保険不払い問題などなど・・どう考えても明るい要素はない。将来病気になり働けなくなって切り捨てられかもしれない・・そんな危機感を改めて覚えさせられた(この作品を観て、再認識させられたという感じです)。では、どうすればそんな危機から逃れられるのか?医療という分野に利益至上主義を持ち込むから、こんなことになってしまうのか。

ブッシュ政権批判でよく知られるムーア監督。オバマ大統領を支持することを表明した今後、どんな映画を制作していくのだろう。新作の”Slacker Uprising”(怠け者の反乱)は、2004年の大統領選中にどちらの候補を支持するかで揺れる62都市を回り、人々の反応や声などを集めて記録したものらしい(北米在住者ではないので、ダウンロードして観れないのが悔しいです)。その後は、彼の公式HP (http://www.michaelmoore.com/)でも触れられているように、ウォール街に端を発した金融崩壊の全容でも撮る気なのだろうか。いずれにしろ、社会派ジャーナリストとしても映画監督としても、目が離せない人物である。★3.2
スーパーサイズ・ミー

2004 アメリカ その他 教養・ドキュメント
作品のイメージ:カッコいい、スゴイ、ためになる

もともと理想的な体型で健康的な食生活(同居中の彼女はベジタリアン)を送るこの作品の監督兼主人公が、ルールを決めてある実験をするという作品。それも、自分の体を使っての実験。

そのルールとは:

1.あるファストフード店でスーパーサイズを勧められたら断らない
2.朝昼夜と三食その店のファストフードを食べる
3.その店の全メニューを制覇する

このフィルムを制作したきっかけとは、肥満症になった高校生が肥満症になったのはハンバーガーを販売するあるファストフード店のせい、ということで訴訟を起こしたこと。まあ、そんな理由では当然棄却されたわけだが、裁判に勝ったそのファストフード店が「我が社はみなさまにヘルシーなフードを提供している」と鼻高々に語ったことに腹を立てた作者が、「よし、そんなにヘルシーな食べ物なら毎日食べてやる」ということで制作したもの。30日間の実験の予定だったのに、実験半ばでドクター・ストップがかかってしまう。

この作品の社会的インパクトがあまりにも大きかったので、そのファストフード店はしばらくしてスーパーサイズの商品を販売するのを止めたのだとか(その店は「そのこととこの作品との関連は特にない」とは言っているものの)。

企業は営利目的だけに存在するのではなく、真の意味で社会に貢献する集団であるべき。ただ単に売って儲けを出せばよいのではない。そんなことを個人的に主張した作品が大きな社会を動かしたことに、感銘を受けた。
トゥルーへの手紙

2004 アメリカ 洋画 ドラマ 動物
作品のイメージ:癒される、かわいい、切ない
出演:ダーク・ボガート、エリザベス・テイラー、ハービー・フレッチャー

写真家ブルース・ウェバーが、愛犬トゥルー宛に手紙を書いている。その
手紙の内容が綴られた作品。そして、その中に、さまざまな映像や詩、詞
(下記はその一部)がカット・インされている。新聞の切り抜きのような
断片を連ねて謳い上げる彼の信条の中に、犬への愛情が巧妙に織り交ぜら
れていると言える。

―「名犬ラッシー」(映画:主演のエリザベス・テイラーとは、『エイズ撲
滅運動』での友人らしい)
―「名犬リン・ティン・ティン」(TVドラマ)
―「オルフェウスへのソネット」(詩:ライナー・マリア・リルケ)
―ダーク・ボガードの映像(友人なのか?)
―マーティン・ルーサー・キング・Jr. のスピーチ
―“War is over, if you want it.”(オノ・ヨーコとジョン・レノンの言葉)
 …etc.

犬好きの方におススメの作品ということは間違いないが、それよりも平和
を願うブルース・ウェバーの強烈なメッセージ映像だと思って観た方がよ
い。彼の人生観や哲学が、映像からあふれ出てくるように語られていて、
その中に当然のように犬が存在しているといった印象。

映像は、犬と一緒に走ったり遊んだりしているような錯覚に陥るくらいよ
く撮れている。特に、波打ち際で駆け回るゴールデンレトリーバーを追う
カメラワークやゴールデンレトリーバーと蝶のコラージュがすばらしい。

9.11がトラウマとなって飛行機の音がするたびに空を見上げて悲しい顔
をする犬がいるという話には、切なさを感じた。マンハッタンのカフェ
でパフェを舐めたりする犬、サーフィン・ボードに乗ったりする犬がか
わいらしい。約80分とちょっと短めの作品だが、密度はかなり濃い。
何か掘り出しものを見つけたような気がする。★3.3
ダーウィンの悪夢

2004 フランス, オーストリア, ベルギー  洋画 その他
作品のイメージ:切ない、ためになる

解説は無く、タンザニアの人々や、肉食魚ナイルパーチ輸出に関わる人々からの短いインタビューで構成されたドキュメンタリー。音楽も無い。

あまりに衝撃的過ぎる映像に見始めて15分ほどで悲しく辛い気持に苛まれ始めたが、なんとか頑張って最後まで鑑賞。

生きるため、魚を輸送する飛行機のパイロット相手に自分の体を売る女性たち。まともな教育を受けられず、字が読めなくて避妊の方法がわからない。そして、蔓延するエイズ。エイズで親を失い、ストリート・チルドレンになる子供たち。加工した後の魚の残骸を食糧とする地元の人々。ビジネスと割り切る輸出関係者。輸出の空輸の往路に積まれる武器。そして、内戦。――あまりにも救いようのない連鎖。

タイトルは、もともと湖に住んでいた魚を食べるナイルパーチから、弱者を食いものにする強者を連想させる効果があるのか。競争で淘汰される命。「適者生存」なんて、おぞましい言葉だ。弱者を踏み台にして生きるそんな強者が生き残ったところで、生物は本当に進化していると言えるのか。そんな連鎖は断ち切らないといけないと知りながらも、人間は自分や自分の家族が生きていくためには、見て見ぬふりをしているのか。だったら、生きるって悲し過ぎる。

(辛い気持になる作品なので本当はおススメしない方が良いのかもしれませんが、タンザニアの実情が一人でも多くの人に知られた方が良いのかと思い、敢えて高評価をつけました。価値観の押し付けだったら、お許しを。)

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