あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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星新一 ショートショート 02 ダークサイド・エディション
2008  日本  国内TVドラマ  ドラマ  
出演:小路勇介、宮崎吐夢


不思議な世界に浸れる奇妙なテイストの大人の童話集。NHKが毎夜3話ずつ10分レギュラー番組として放送した「星新一ショートショート劇場」の中から、10話をピックアップしたもの(星新一が生涯に残したショートショート作品は、なんと1,000篇以上もあるのだそうです)。放送時には、アニメ2話と実写1話の組み合わせだった。「ダークサイド・エディション」とあるので怖いのかと思いきや、全然怖くはなく、ほとんどがシニカルな展開。「夢」と「悪魔」がモチーフになっているものが多い。

 

  「夢と対策」(アニメ):話は面白い。ナレーションの滑舌があまり良くないせいか、聞き取りづらい部分がある。★4

  「逃走の道」(ドラマ):原作がかなり前のものなので仕方がないが、尼崎の脱線事故を思い出してしまうテーマ。★2

  「鏡」(アニメ):大正ロマンを思わせるアニメ。サディスティックな内容。★2

  「椅子」(ドラマ):オーソドックスな皮肉。演技がパッとしない。★2

  「買収に応じます」(人形劇):環境問題がテーマとなっていて、時代を考えるとかなり先を見据えたものと言えるのかも。★3

  「アフターサービス」(モノクロ・アニメ):ありがちな話ではあるが、セールスマンの最後の笑顔が不気味でゾッとする。★4

  「欲望の城」(ドラマ):人間の欲望をよく表わしていると思う。こんな夢を毎日見れると楽しいだろう。★4

  「よごれている本」(アニメ):アニメの精度が高い。ストーリー自体はどこかで読んだことがあるようなおとぎ話風。★3

  「神」(アニメ):デッサン調のアニメ。「神とは・・」というテーマのわりには、こじんまりとまとまりすぎている。★2

  「悪夢」(ドラマ):コメディ・タッチ。音楽のノリがよい。★3

 

軽く鑑賞できてよいのだが、35分とあまりにも短すぎる。せめて倍の20話くらいにはして欲しい。上記10話の中では、最初の「夢と対策」がいちばん気に入ったのだが、ラストのナレーションが聞き取れなかったので(何度も再生してヘッドホンでもトライしてみたのですが)、すごく惜しい(誰か聞き取れた方がいらっしゃったら、ぜひおしえてください)。一つ一つの話の密度は濃いので、一気に鑑賞するより3-4話ぐらいずつに分けて観た方が、それぞれの不思議な世界を吟味できるのではないかと思う。そういう意味でもNHK3話ずつ放送したというのは、観る者のことをよく考えているなぁ・・という感じが。

 

10話観た感じでは、話のパターンみたいなのがあって、必ず一つのオチがあって終わる。おそらく他のエディションでも、そうなのであろう。だが、パターンがわかっていたとしても、しばらくするとこの世界に浸りたくなくような気がする。次は、「プレミアム・エディション」か、「シュール・エディション」か(シリーズ作品として、今のところ5つあるようですが、それぞれ独立した童話集なので、特にシリーズ01から番号順に観る必要はないです)。作品に対する印象は、「皮肉が効いている(スパイシーな感じ)」。上記平均★2.9から、35分という物足りなさ▲0.3を引いて、★2.6
シリウスの道
2008  日本  国内TVドラマ  
作品のイメージ:切ない、カッコいい
出演:内野聖陽、寺島進、大塚寧々、栗山千明

今まで意識していなかった内野聖陽に魅力を感じた作品。大手広告代理店営業部副部長の辰村祐介(内野聖陽)は、大手メーカーである大東電機から、突然予算18億という巨額プロジェクトの競合の指名を受ける。仕事の内容は、新たに参入するネット証券のプロモーション。社内の軋轢の中、有能な上司(真矢みき)の下で、他の社員と協力して仕事を引き受ける辰村。しかし、そのプロジェクトが、自分の封印してきた過去と繋がっていることを知る。25年前、大阪で暮らす子ども時代の祐介は、勝哉(寺島進)と明子(大塚寧々)と三人で仲良くしていた。ある日、明子が母親の再婚相手である義父(六角精児)に何度も犯されていることを知る。少年たちの心に燃え上がる暗い復讐の炎。二人は、明子に知られないように、明子の義父を殺そうと決意する・・。

 

元大手広告代理店に勤めていた原作者だけあって、広告業界の実態がリアルに描かれている。社内派閥や権力争いの中にあっても、凛々しく自分のスタイルを貫く辰村の熱さにはウットリしてしまった(でも、社内での暴力はいけませんよ)。しかし、そんな辰村に蘇る記憶が、彼を影のある男にしている。そう、「記憶は眠らせることはできても、葬り去ることはできない」のだ。そして、一枚の絵が、祐介を勝哉へと導くことに・・。

 

ドラマWについてのクオリティの高さは「ルパンの消息」でも実感したが、本作でもWOWOWの実力を見せつけられたような感じ。但し、158分というのは長すぎるので、せめてせいぜい二時間くらいにまとめてほしい(途中飽きたり間延びしたりすることはありませんでしたが、長い分だけ内容が希薄になったと思います)。良かった点は、広告業界の内実なんて自分は疎かったが、それを垣間見ることができたこと。結局のところ、他の組織と同じというか、さらにドロドロしたものなのだなぁ・・なんて思ってしまった。しかし、一点だけ解せない点がある。勝哉がわざわざ明子を苦しめるような手紙を半沢(大東電機の常務であり明子の夫/田中健)に書いたのか・・いくら大東電機への復讐のためとは言え、あの手紙の内容は酷過ぎるような・・。勝哉も祐介と同様、明子のことが好きだったのでは・・?

 

キャスティングも豪華。派遣社員役の栗山千明がかわいいし、辰村の足をひっぱろうとする他局長役の本田博太郎の悪役ぶりはいぶし銀もの。真矢みきは、「できるいい女」がハマり役。セクシー・オーラが、ビンビン感じられた。辰村が通っているバーのマスター役の白竜は、相変わらず渋い。六角精児が、ちょっとかわいそうな役だけど(六角さんにとって、という意味です)。大塚寧々は、明子の二面性を上手く演じ分けている。明子の暗い過去が彼女を変えてしまったのか、それとも母親の影響なのか・・。そして、なんと言っても、内野聖陽の魅力が溢れている。硬派で、どんなことがあっても自分を曲げない、ときには熱く、ときにはもろい、そんな人間味溢れる辰村祐介の役を自分のものにしている。あまりのナチュラルさに、素で演じているのではないかと思えるほど。内野聖陽は時代劇に結構出演しているようだが、今後はこういったドラマのサラリーマン役のオファーも受けてほしい。

 

「シリウスと」は、太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星で、ギリシャ語で「焼き焦がすもの」「光り輝くもの」を意味するらしい。この意味が、ラストに効いてくる(エンドロールの背景・・夜の浜辺にあの二人の影が重なるのかどうか・・最後の最後までお楽しみください)。★3.9

ルパンの消息
2008  日本  国内TVドラマ  
作品のイメージ:感動、泣ける、切ない、ためになる
出演:上川隆也、岡田義徳、佐藤めぐみ、柏原収史

これほどまでに完成度の高いTVドラマは、あまり観たことがない。ベストセラー作家である横山秀夫の処女作をWOWOWがドラマ化した作品。15年前に自殺と断定された女性教師の墜落死は実は殺人事件だったという一本のタレ込みがあったことから、物語はスタートする。「ルパン作戦」と称して、深夜の学校に忍び込んだ男子生徒三人組が事件に絡んでいるというのだ。「ルパン作戦」とはいったい何なのか・・?時効成立まで、あと24時間。三億円事件で最後の容疑者を取り調べたが時効成立のため追い込めなかった溝呂木刑事(上川隆也)が、今回の事件捜査の指揮をとることに・・。

 

1990年とその15年前の1975年がシンクロするかたちで、ストーリーは展開される。1990年のパートでは、ほとんどのシーンが取調室。問題の男子生徒だった三人の一人一人と、担当刑事との心理戦がメインとなっている。1975年のパートについては、男子生徒らの供述によって、15年前に何があったのかがそれぞれの視点から語られる。そして、ラストではパズルの断片が繋がり、ある一つの事実へと・・。二転三転するストーリー展開、そして涙なしには観れないラスト・・。何かを書くとネタバレになる可能性があるので、具体的なことはあまり書けないが、まず真犯人役の人の怪演が光っているということ、三億円事件をも取り込んだ複眼的ミステリー・ドラマに仕上がっているということ、斬新なプロットに加えて「泣ける」作品であるということ、思わぬ細かい部分にバック・ストーリーが隠されているということ・・などが特筆すべき点だと思う。

 

「半落ち」「クライマーズ・ハイ」にあるような重厚さはあまり感じられず、「ルパン」という名前の喫茶店からもわかるように、昭和の香りのする軽妙な筆致で書かれたのであろう原作の一端が窺える(原作は未読なもので・・)。良い意味で、横山秀夫の若さと勢いが感じられるプロットと言えるだろう。これを118分のドラマにまとめているのは、凄いと思う。最初は「もしかして、青春もの・・?」と思いきや、中盤以降はまるで予想すらできない広がりを見せる。

 

セリフの中で出てくるがあまり説明がなくてピンとこなかったのが、「百合族」と「刑事訴訟法第255条」の二つ(但し、この二つは関連していません)。「百合族」とは、女性同士の同性愛者(いわゆるレズビアン)の昭和用語のよう。一方、「刑事訴訟法第255条」とは、「犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効はその国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する」というもの。また、刑法と民法では時効が違うということも、キーとなってくる(民法になると、警察の管轄外になりますが・・)。

 

ミステリー小説をドラマにした場合、どうしても中盤あたりで真犯人が見えてしまうことが多いのだが、今回は全くわからず(真犯人役の人の怪演にもかかわらず)、華麗なドンデン返しに見事に騙されてしまった。真犯人がわかった後に考えてみると、伏線の張り方もすばらしいが、その回収のしかたも感心してしまうほど上手い。原作もさることながら、ドラマ化する段階での脚本が効いているだろう。また、誰かを庇って自分一人で背負いこもうとする人たちの友情や愛情が豪華なプロットを通じて直線的に観客に伝わってくるところも、脚本力のなせる技なのだろうか。「ドラマW」と称されるWOWOWドラマのクオリティの高さを肌で感じ、しばらく「ドラマW」を続けて鑑賞してみたい気になった。★4.6

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