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コメント:2010 日本 邦画 ドラマ 作品のイメージ: ほのぼの、癒される、かわいい、おしゃれ、ためになる出演:坂井真紀、西島隆弘(AAA)、加賀まりこ、藤竜也 |
まず、注目したのがルイとトバちゃんの住む家のインテリア。家自体はすごく古いのですが、家の中がスッキリと何気なく「おしゃれ」なのです。観葉植物がさりげなく飾ってあったり、小物一つ一つが凝っていて、雑誌の「クロワッサン」に登場しそうなシンプルながら温かみのあるデザインになっています。実生活の参考にもなるので、なんか得した気分です。
また、坂井真紀さんの着ている服も趣味がいい!地味ながら品が良くて…ミシンが確か部屋にあったので手づくりなのかも。そして、映画のシーンに何気なく存在する猫ちゃん…これがまたブサカワでデブなんだけど、快適な空間にマイペースで暮らしている感じが、なんとも安らぎを与えてくれます〜。
それにしても、この作品に登場する人の笑顔がステキなんですよ。とりわけ、ルイの家にひょんなことで転がり込む康介(西島隆弘)の笑顔が印象に残りました。大変な状況でも笑顔でいられる…そんな人って尊敬します。いつもニコニコしていられる人って努力の賜物なんでしょうか、それとも生まれつき?
ストーリーに大した展開があるわけではないんだけど、この作品を観て「しあわせ」について考えさせられました。子供の頃は、「しあわせ」って目に見えないけどマラソンのゴールのようなもので、そこへ向かって走って行ってゴールインしてしまえば「しあわせ」というゾーンの中で生きていけるものだと思ってました。でも、実はそんなゾーンはなくて「しあわせ」は日々の生活の中で感じる瞬間瞬間ではないかと。たとえば、おいしいスープをつくってそれを口にするとき、近くにいる人と心を交わすとき…生活の中に散りばめられている「そのとき」なのだと。
トバちゃん仕込みのルイのつくる温かいスープの味がつたわってくるような、そんな作品…とても美味しかったです、ごちそうさまでした。
※イメージの追記:「ためになる」インテリアが勉強になる 「かわいい」猫ちゃん
お嫁さんのお駒(仲間由紀恵)の身になって考えると、「こんなガチガチに堅い夫ってどうかな〜」なんて思ってしまうのですが、直之は筋金入りの御算用者なんで、こういう風にしか生きられないんでしょう。そのために空気が読めなかったり人付き合いの面で損をしたりすることもあるのですが、見る人はちゃんと見てくれていているものなんですね(救われました)。良妻賢母なお駒も、そんな直之を理解しています。自分の親のお通夜でも葬式費用のそろばんをはじいているって(苦笑)、と普通思いますよね。でも、わたしは、どこかわかるような気がするんです。直之は、どうしてもそろばんから離れることができないのが。
「武士は食わねど高楊枝」と言いますが、直之は全くそれには当てはまらず、まさに「ボロは着てても心は錦」といった感じ。家計が厳しくなってきたときでも現実を見据えて、体裁を構わない…そんなところは幕末から明治へと通ずる、当時としては新しいタイプの人だったのだと思います。そして、その新しい考えが結局のところ、長男の成之にも引き継がれていったわけです。
俳優さんについては、堺雅人さんをはじめみなさん適役だったと思いますし、脚本もスッキリとまとまっているのではないのでしょうか。ただ一点だけあげるとすれば、長男・成之の回想シーンからの始まるのですが、成之のことばで観客に対して家族の紹介をします。つまり、直之のことを父と呼び、直之の父親のことを祖父と呼びながらナレーションするんで、ちょっと相関図がわかりづらかったです(主人公はあくまで直之なので)。「ナレーションしている人の父親=主人公」ということを、あらかじめ知っておいた方がよいかもしれません。
最後に、ホロリとしてしまった理由についてです。小説のタイトルそのものが、生涯「そろばんバカ」を通した直之の生きざまと共に力強く示されたので、心にグッと押し寄せるものがあったのだと思います。そして、始終成之の視点でストーリーが語られていて、その観客の感情はまさに成之の感情とダブらせてラストを盛り上げる展開で、素直に感動しました。原作の力(?)も無論あるのでしょうが、時代劇はあまり観ないという方にもおススメしたい佳作です。
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