あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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コアラ課長
2005  日本  邦画  コメディ  ミステリー・サスペンス  
出演:野村宏伸、エリローズ、イ・ホ、黒田アーサー

まず結論から言うと、本作の評価は★0.2(観る前から、こんな評価になることは予想していました)。というのも、ある方のブログに「人生最悪の映画」というフォルダがあって、その中の一つだったわけで・・(マニア受けするものなのか、どんなものなのか、怖いもの観たさでレンタルしたものの、凡人の私はやはりこれ以上の評価は付け難いです)。漬物会社の敏腕課長の田村は、なんとコアラだった。で、なぜか社長がウサギで、コンビニ店員がカエル(もうこの段階でついて行けず)。韓国のキムチ業者との契約を控え仕事も順調だった田村に、悲劇が起こる。恋人の洋子が惨殺されたのだ。刑事の小野(野村宏伸 は田村の前妻の由加梨が6年前に謎の失踪を遂げていることを知り、田村を容疑者としてマークする。田村は由加梨の失踪前後の記憶を失っていて、精神科医の野中(黒田アーサー)のカウンセリングを受けている。果たして、彼は猟奇的連続殺人コアラなのか・・?

 

ビジネスの話で始まったはずなのに、いきなりサイコ・ホラーになり、誰もが予想しない法廷ミュージカルへと発展。刑務所ドラマ、脱獄、格闘技アクションあり、そしてラストは驚愕のクライマックスが待っている。「それにしても、韓国古武術蘇生術っていったい何よ?」とか思いながらも、「彼はシロでもクロでもないグレーだ。コアラなだけにな」という刑事のセリフにも背筋に寒さを覚えながらも、「なんじゃこりゃ」とほとんど呆れながらも最後まで観てしまった。一言で言えば、「意味不明」な作品。そう言えば、「100年前のコアラ大量虐殺」というのも、訳がわからない。映像が安っぽい、出演者の演技も見ていられない、シーンも全部ぶつ切れになっている、登場するコアラ課長がパッケージのコアラと全然違う・・とか、まぁそんな細かいことまで気にならないほど、最初からトンデモな作品なわけだけど。そう言えば、「しょこたん」こと中川翔子も一瞬出演するんだけど、みんなが最初から思っているツッコミをKYな感じでしてしまって、「それを言っちゃあ、おしまいよ」とトホホ・・な感じ。

 

では、本作を観て、笑えるかどうか・・?個人的には、全く笑えないどころか、あまりのくだらなさいにムカついてしまった。この監督は「いかレスラー」「兜王ビートル」を制作したことで有名らしいが、はっきり言って他の二つも観る気が失せてしまった。観る順番を間違えたのか・・?自分にはユーモアを解するセンスが欠如しているのか・・?いや、やはり「人生最悪の映画」と評されていた方がいるくらいだから、そんなに自分のセンスは、人と比べて偏っているとも思えない・・ということにしておこう(当然、おススメはできません)。しかし、こんな作品でも淡々と演技する役者さんたち・・かなり気の毒に思えてしかたがない。前妻の由加梨の名前ってユーカリから来ているのかしら・・これも笑えない。
いつか読書する日
2005  日本  邦画  ラブロマンス  ドラマ  
作品のイメージ:ほのぼの、切ない
出演:田中裕子、岸部一徳、仁科亜季子、渡辺美佐子

田中裕子の圧倒的な存在感と、岸辺一徳の感慨深い演技が見物の作品。朝は牛乳配達、昼はスーパーで働く50歳の独身女性・美奈子(田中裕子)は、30年以上もただ一人の男性を想い続けてきた。その男性とは、美奈子の高校時代の同級生である槐多(岸辺一徳)。槐多も美奈子と同様故郷の町で暮らし、妻で末期ガンを患う容子(仁科亜季子)を自宅で看病しながら、市役所の児童課に勤務していた。美奈子は自転車で、槐多はバスで職場へ通う。毎朝同じ時間に、同じ場所で二人はすれ違う。なのに、決して視線が合う事はない。30年以上も、目を合わす事なく過ごしていた二人。目を合わさなくても、お互いの気持ちを確認していたのだった・・。

 

毎朝牛乳を届けるために、牛乳のびんをがちゃがちゃ鳴らしながら駆け上がる階段、そして美奈子の息づかい・・淡々と過ごす毎日の中にも、美奈子の胸に秘めた熱い想いがたまに見え隠れする。美奈子の日常が、撮影風景である町の人々の日常とうまく融合していて、「ごく普通の生活」がさり気なく静かに描かれている。それに絡むように、アルツハイマーが進行する元英文学者と小説家であるその妻、育児放棄される少年といった脇の人物のショートストーリーが、気の利いたアクセントになっている。そう、日常とは淡々としているが、その中にも人々はそれぞれの毎日を精一杯生きているのである。

 

市役所にやって来た85歳の老人に、50歳の槐多は「50歳から85歳までは長いですか?」と尋ねる・・これは、タイトルである「いつか読書する日」を暗示しているかのよう。積み上げられた膨大な量の本が、美奈子のこれからの長く静かな人生を物語っているのではないだろうか。彼女は新聞に広告が出ている面白そうな新刊書があるとそれを切り抜くシーンがあるが、本を蓄積して「いつか読書する日」のために日々備えているのだ、牛乳を配りながら。「できればこの町の人全員に牛乳を届けたい」という美奈子のセリフ・・彼女は自分の仕事を根っから好きなのだ。好きな仕事を長年続けられているというのは、羨ましくも思う。

 

それにしても、田中裕子はハマリ役というのか。50歳女性の魅力を存分にこの役にぶつけているというか・・。かたや、岸辺一徳の渋い演技は言うまでもない。不器用で恋愛に奥手な二人の微妙な距離を、それぞれの表情やセリフの間で表現している。二人の演技は安定していて、それほど大袈裟なセリフの言い回しもなく、自然に日常生活に馴染んだものばかり・・しかし、時折迸るような情熱が・・。まさに、「平凡」そのものを演じているが、けっして平板になっていないところが凄い。リアリティから、ふと零れおちる熱い情熱・・その情熱が柔らかく、時にははかなげで、愛らしい花びらのよう。

 

個人的に難点と思えるところは、槐多が「今まで思ってきたことしたい」と言って美奈子を抱きしめ、美奈子が「全部して」と答えるシーン。ここは、ちょっといただけないと思ったのと、美奈子の下着のあまりの色気のなさがちょっと哀れというか・・。できれば、最後までプラトニックな恋であってほしかったなぁ・・というのが、正直な感想。

 

美奈子の立場を、自分の立場にちょっと置き換えてみた。「いつかレビューする日」という作品があってもいいのではないか・・とか(←おもしろくもなんともない!・・スミマセン)。★3.4 

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