あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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死ぬまでにしたい10のこと
2002  カナダ  スペイン  洋画  ドラマ  ラブロマンス  
作品のイメージ:切ない、ためになる
出演:サラ・ポーリー、マーク・ラファロ、スコット・スピードマン、レオノール・ワトリング

「人生の終わりが分かったら、自分はそれまでに何をするだろうか」について、考えさせてくれた作品。23歳のアン(サラ・ポーリー)は、夫のドンと二人の娘と一緒に、トレーラー・ハウスで暮らしていた。アンとドンは、経済的には貧困層に属する夫婦。ドンはようやくプール工事の仕事にありついたばかり。アンは、大学構内の深夜清掃で生計を立てている。ある日、アンは突然体調を崩し病院に行くと、癌で余命数カ月と宣告される。アンはそのことを誰にも言わず、夜更けのコーヒーショップで死ぬまでにしたいことの10項目のリストを作る。そして、その日から、彼女はそのリストを一つずつ実行していくのだった。そんな時、アンは、コインランドリーで、ある男性リー(マーク・ラファロ)と出逢う・・。

 

原題は、”My Life without Me” (私のいない人生)。この若さで自分の死を静かに受け入れ、他言せずに淡々とするべきことを実行するヒロインに驚嘆した。が、残念ながら、リストの内容には共感できなかった。夫以外の人と恋愛するというのは、仕方がなくそうなってしまうのならまだしも、一つの目的にするのはいかがなものか(どんな理由があるにせよ)。それに、もし自分だったら、家族にメッセージのテープなどを残したりしないと思う。感動的ではあっても、家族にとっては涙なしでは聞けないものになってしまうから。自分が死んだ後のことは、残された人たちの意思に任せたい。自分自身が存在しないのに「後添え」のことまでアレンジするなんて、おこがましいような気がする。とは言え、「爪とヘア・スタイルを変える」という項目からは、アンが若くして遊びもオシャレも何も知らずに結婚した後、 生きるだけで精一杯のギリギリの生活を送ってきたことが窺え、この項目については心にジーンとくるものがあった。

 

誰もがいつかは迎えるその日が来たときのための「心の準備」にはなった。10項目のリストを作ることで、案外自分自身が救われるものかもしれない。そして、淡々と行動に移すことによって、やがて来る死を客観的に見つめることができるのかも。というわけで、本作自体、「感動」「泣ける」作品かと期待していたがそういう意味では肩透かしであったものの、実用的に「ためになる」作品であった。自分もこのような境遇になったら、自分なりのリストを作ることにしよう。でも、あくまでも自分がいなくなった後のためのものではなく、自分がこの世に存在する間のためのものをリストアップしたい。故に、原題よりも邦題の方がしっくりくる。

 

案外人間は死の間際になると冷静になれるのかもしれない。なので、余命数カ月の場合、お医者さんには自分本人に宣告してほしいと思う。家族にだけ言って本人には隠すということは、絶対にしないでほしい。死を淡々と受け入れて、残された月日にできるだけのことをする、という意味ではアンを見習いたい。余命数カ月のヒロインが外見上全く病人には見えないこと、不倫していたらやはり家族との間に溝が出来てしまうのではないか・・などなどのツッコミどころはあるものの、残りの人生をどう生きるかについて考えるきっかけを与えてくれた作品・・なので、なんとか及第点。★2.8

ワンダフル・ドッグ
2002 アメリカ 洋画 ファミリー 動物
作品のイメージ:ほのぼの、癒される、かわいい、ためになる
出演:ロバート・ヘイズ、ロバート・ワグナー、メル・ハリス、アラン・レイチンス

いわゆるB級作品に分類されるファミリー・ムービー。ストーリーも平板だし、低予算で制作されたのが一目でわかってしまうような作品。しかし、心打つものがあった。原題は“The Retrievers”(ゴールデン・レトリバーのワンちゃんたち)で、副題は「ともだちはレトリバー」(邦題よりも副題の方が内容に合っているような)。ニューヨークからカリフォルニアの田舎町に引っ越してきたラウリー一家は、新居に迷い込んできた一匹のゴールデン・レトリバーを飼うことに。飼い始めてしばらくすると、その犬は妊娠していることがわかり、六匹の子犬が誕生する。子犬の里親を探し、里親たちに子犬を引き渡したラウリー一家だったが・・。

動物を飼うことの責任について、すごく考えさせられた。ペットブームである昨今、動物を簡単に飼ってしまう風潮がある。そんな中、犬が愛玩動物ではなく生きものであることを再認識させてくれるような内容。生きものである以上、自分の思うようにならないし、いなくなっちゃうこともある。死ぬことだってある。里親に引き渡す前に、子犬一匹一匹に名前をつけたラウリー一家の子供たち。里親に全く別の名前で呼ばれている子犬を見て「僕がつけた名前の方があの子にはピッタリなんだけどな」という子供のセリフが、犬への気持ちをよく表している。そして、引き渡した後に、ラウリー一家はある思い切った決断をすることに・・。

(個人的な話になるので恐縮ですが)自分が子供の頃に飼っていた犬のことを思い出して、切なくなってしまった。自分は、犬のことを家族の一員として十分に思っていただろうか・・?自分は、飼い始めてしばらくしたら母親に世話を任せっきりで、犬を放っておいたのではないか・・?可哀そうなことをしてしまったのかもしれない・・と。今度犬を飼うことがあれば、絶対に後悔することはないようにしよう・・・と。ごめんね、シロ。

そんなことを感じさせてくれる作品なので、子供さんと一緒に観るのもおススメ。しかも、押し付けがましい感じは全くないので、自然に「ためになる」。映画の内容に加えて、犬自体も「かわいい」し、「癒される」。ラウリー一家が犬に振り回される様子も「ほのぼの」している。犬好きの方はもちろん、動物が苦手でなければ見て損はない作品だと思う。★3.2
インソムニア
2002 アメリカ 洋画 ミステリー・サスペンス ドラマ
作品のイメージ:ドキドキ・ハラハラ、怖い
出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンク、モーラ・ティアニー

ノルウェーのオリジナル版「不眠症」を、クリストファー・ノーラン監督がリメイクした作品。アラスカの町ナイトミュートで殺人事件が起き、ロス市警から辣腕刑事のド―マー(アル・パチーノ)と同僚のハップが派遣される。犯人を追い詰めることに成功した二人だが、深い霧の中でドーマーが撃った弾がハップに当たり、ハップは死亡してしまう。ドーマーは、自責の念と白夜の明るさから不眠症に悩まされ、眠れない日が続く。そんなところへ、誤射事件を目撃したという謎の男(ロビン・ウィリアムズ)から電話が・・。

寝不足でだんだん神経が参っていく様子が、アル・パチーノの演技からよく見てとれる。一瞬夢の世界に行ってしまうような幻覚のカットインや光の眩しさの巧みな視覚効果により、観客は自分が寝不足になったような感覚に陥ってしまう。「メメント」では10分おきに遡っていくというストーリー展開で観客が前向性健忘症になったかのように錯覚してしまうのに対し、本作では観客自ら不眠症を体験しているかのように感じる。

本作を観て、「未必の故意」という言葉が頭に浮かんだ。ドーマーに、殺意は本当になかったのか・・?ハップを撃ったのは、本当に誤射だったのだろうか・・?ということを考えると、ゾッとしてしまった。そもそも、ドーマーの不眠症はいつから始まっていたのか・・?ハップの死亡事故からなのか、あるいはナイトミュートに到着した時点からなのか・・それとも・・?「良い警官は謎を解くときに眠れないが、悪い警官は良心から眠れなくなる」、「目的は手段を正当化する」や「人は正しいと思ったことを受け入れるべき」などのセリフが、それらの疑問を解くカギとなっているような気がする。

突き詰めていくと、「正義と悪」「故意と過失」について、深く考えさせられる。犯罪という結果を積極的に希望するものではないが、自分の行為により結果として生じてもかまわないと思った場合は「未必の故意」に相当。一方で、結果発生の可能性を予測しているが、その結果が発生しないであろうと軽信した場合は「認識ある過失」に相当する。ドーマーの潜在意識の中に、過去の「ある汚点」とハップがそのことを知っていた事実が刻まれていたと考えると・・?

本作は、ミステリーではないことは確か。人間の奥深い心理を鋭く描いたドラマである。判断力を失ったグレー・ゾーンにある心理状態が、ドーマーを通じて一人称視点で描かれている。使命感に燃える若い女性刑事(ヒラリー・スワンク)の存在は人間の正義感を意味すると考えると、ロビン・ウィリアムズ演ずる謎の男の存在が象徴するものとは・・?白夜の白い光が人間の潔癖感を表すとすれば、不眠症に陥ったドーマーが光の眩しさで安眠できないということも納得できる。

という訳で、本作でもノーラン監督の世界に酔いしれてしまった。人間の心の深みを探るようなドラマの制作おいては、彼の右に出るものはいないのではないかと思う。強いて難点を挙げるとすれば、ロビン・ウィリアムズのイメージが役柄にしっくりきていないこと(演技は文句なしなんですけどね)と、今回ノーラン監督自ら脚本を手掛けたわけではないことくらい。★4.3
しあわせな孤独
2002 デンマーク 洋画 ラブロマンス ドラマ
作品のイメージ:切ない
出演:ソニア・リクター、マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・カース、パプリカ・スティーン

スサンネ・ビア監督の初のヒット作(「アカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表作品」)であることが納得できる作品。予期せぬ不幸な事故によって、4人の男女の人生が狂っていく・・そんなプロットが「ある愛の風景」に似ているというか、本作が「ある愛の風景」の原型になっているというか。結婚を目前にして交通事故に遭い全身麻痺になってしまう男性(ヨアヒム)、全身麻痺になった婚約者に愛を拒否されてしまう女性(セシリ)、一瞬の不注意で交通事故の加害者になってしまう女性(マリー)、そして家庭がありながらセシリに恋をしてしまう男性(ニルス)にスポットライトが当てられている。おまけに、マリーは夫であるニルスがセシリに心を奪われていることを知ってしまうという悲劇。

現実が受け入れることができずに周りに八つ当たりしてしまうヨアヒム。セシリは、そんなヨアヒムをどう愛してよいのか戸惑う。そして、その戸惑いがいつしか別の方向へと走り出す。セシリを愛してしまうニルスは、渡辺淳一作の「失楽園」の主人公のような役柄。この3人の心境は、かなり繊細に描写されている。しかし、突如として加害者になり夫が家庭から離れていくという事態に陥るマリーの心境の描写だけが、やや物足りない感じ。

映像から人物の心境が見てとれるところは、さすがスサンネ・ビア。技巧を凝らさずに素朴な映像表現にこだわった「ドグマ方式」により、登場人物の心理を鮮烈なかたちで浮き彫りにしている。「ドグマ方式」とは、デンマークにおいてラース・フォン・トリア監督が立ち上げた映画の撮り方で、セットは使わずにすべてロケーション撮影、使用するのはすべて手持ちカメラのみ、人工的な照明は使わないなどの撮影方式のことである。本作では特に、この飾り気のないシンプルな手法が奏功していると言えるのでは。

原題の”Open Hearts”は、”open one’s heart”(心境を物語る)から来ているのか。邦題については、センスは悪くないと思うが、自分が邦題をつけるとしたら「幸福と孤独」かな。北欧の作品なだけに、「男性が女性に家具を買ってあげる」ということが特別な意味があるのだろうか・・なんて考えてしまった。とにかく、家具のデザインがステキ。エンディングの曲は、独りになってしまったセシリの思いを謳っているよう。あと、セシリ役のソニア・リクターが「4ヶ月、3週と2日」のヒロイン役(アナマリア・マリンカ)にそっくりなので、最初は同じ人かと思った(北欧の人と東欧の人って、顔が似ているんですね)。★3.2
アバウト・シュミット

2002 アメリカ 洋画 ドラマ
作品のイメージ:泣ける、ほのぼの、切ない
出演:ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ダーモット・マローニー、ホープ・デイヴィス

劇場で鑑賞。定年退職後に妻に先立たれ、どう生きていったらいいのかわからない男性の悲哀をユーモラスに描いた作品。途中若干間延びした感じで、もう少し短い時間にまとめた方がジャック・ニコルソンの渋い演技がピリッと生きたと思うが、ラストにホロっとさせられたということで、ちょっと甘めの評価(★2.5 くらいかと)。

男性は、いつか直面するかもしれないことが立て続けに起こった場合、何に自分の主軸を置いて生きていったらいいのかわからなくなる場合もあるだろう。仕事一筋に生きてきた人ならなおさら。

シュミットが退職後に会社を訪問してみると、自分が退職まで一生懸命仕事をしてきた証である書類のファイルが段ボールにまとめて入れられ、段ボールにはマジックで“ABOUT SCHMIDT”(シュミット氏関連の書類)と乱暴な字で書かれて倉庫に積まれているのを発見する。それを見たときのシュミットの表情が忘れられない。

涙を誘うラストだったが、なぜだかほのぼのとした気分にさせてくれた。それにしても、キャシー・ベイツの役がもっと筋に絡んでくるものだったら良かったのに。
サロメ

2002 スペイン 洋画 ドラマ
作品のイメージ:カッコいい、ためになる
出演:アイーダ・ゴメス、ペレ・アルキリュエ

前半は舞台裏のドキュメント、後半は舞台本番のダンス・シーン。
前半は、やや間延びした感じ。極端に言うと、後半だけでも十分に楽しめる。

後半のサロメの舞台を鑑賞するにあたっては、洗礼者ヨハネの首を求めた王女サロメの物語の予備知識が必要。アイーダ・ゴメスのダンスと新約聖書の伝承をもとにした文学を同時に鑑賞できたので、個人的には満足。

バレエとフラメンコを融合させたスペインのダンス・・そっち方面に興味のない方にはおススメできない観る人を選ぶ作品。

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