あず沙の映画レビュー・ノート

しばらくお休みしておりましたが、そろそろ再開いたしました
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ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
2003  アメリカ  洋画  ミステリー・サスペンス  ドラマ  
作品のイメージ:感動、切ない、ドキドキ・ハラハラ、ためになる
出演:ケヴィン・スペイシー、ケイト・ウィンスレット、ローラ・リニー、ガブリエル・マン、マット・クレイブン

死刑執行に対するアラン・パーカー監督の思い、そして死刑執行に反対する人々の思いが鋭く描かれた衝撃のサスペンス。舞台は、アメリカの死刑論争の中心地であるテキサス。大学の哲学科で教鞭を執る人気教授デビッド・ゲイル(ケヴィン・スペイシー)は、家庭では良き父親であり、死刑制度反対運動に熱心に取り組む活動家でもあった。しかし、活動団体の同僚の女性を強姦・殺害した罪に問われ、死刑執行目前の状況。デビッドに単独インタビューすることになった女性記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)は、処刑まであと数日に迫った彼を取材するうちに、彼がそんな罪を犯した人間のようには思えず、冤罪の可能性を探る。やがて、一本のビデオテープが、ビッツィーのもとに送り付けられてくる。果たして、デビッドは本当に罪を犯したのか? それとも、冤罪で処刑されそうになっているのか・・?

 

テキサスでの死刑の執行回数は全米第一位であることから、選挙の年には特に、死刑制度についての政見が議論の的になることが多いと言う。また、注目度の高い死刑囚の死刑執行に際しては、映像ロケにあるように、多くの人が集まり反対する人たちがデモを繰り広げることも少なくないとか。ロケ地であるハンツヴィルという地域には、死刑囚の棟も含め七つの刑務所があり、「世界一の処刑地」と呼ばれている。2002年においては、米国での処刑の半数は、このテキサスで行われたよう。アラン・パーカー監督は、おそらく死刑執行に反対であるのだろう。死刑制度反対運動の活動家の演説を通して、監督の思いが押し付けがましくなく語られているように思える。

 

しかし、本作はそんな社会派サスペンスではあるが、単なる小難しい作品で終わっていないところが凄い。ストーリーが二転三転し、観客を飽きさせない。また、死刑制度という問題を提起していると同時に、父親の子供への想いが痛いほど感じられる。その父親の思いを強調するという意味で、三つ目の未公開シーンが本作の重要なカギになっているように思え、このシーンについては本編に含めてもよかったのではという気がした。

 

ビッツィーに過去に何があったのかを伝えるデビッドの表情、死刑制度反対運動の活動家としてのデビッドの表情、息子のことを思うデビッドの表情・・そして、驚愕のラストのデビッドの表情。ここまで演じ分けられるのは、ケヴィン・スペイシーをおいて他にはいないであろう。ケイト・ウィンスレットの熱演(よく走りましたね〜)もさることながら、やはりケヴィン・スペイシーなくして本作は成り立たなかったと言えるのではないだろうか。

 

ビッツィーの存在は観客の視点で描かれていて、観客は自然にビッツィーに感情移入できるような絶妙な構成となっている(もちろんケイトの演技力の賜物でもありますが)。ラストまで観てから、全体として上手く練れた作品だなぁ〜、とあらためて感心。無駄なシーンがなく(一つだけありました・・元奥さんに出した学生からの現金とハガキのシーン・・この意味がよく解らない)、脚本もよく計算された上で書かれたという印象。冒頭のビッツィーが全力疾走するシーン、そして観る者に強烈な余韻を残すラストのシーン・・上質なドラマの幕開けと終幕にふさわしいものとなっている。

 

私自身はアラン・パーカー監督とは別の考え方を持っていて死刑廃絶論反対派なのだが、冤罪で死刑になることは絶対あってはならないと思う。死刑制度そのものと冤罪で死刑になることは、また別問題ではないか・・というのが唯一疑問に感じた点。冤罪で死刑になる人がいないようにするためには、法制度のありかたや刑事訴訟のありかたが問われるべきであり、死刑制度の問題とはまた一線を画する。しかしながら、死刑制度そのものを考えた場合、死刑制度自体に常に賛成反対の議論が付きまとうのは、そうあるべきだと思っている。本作では、真剣に死刑制度という社会問題と対峙しようとする真摯な姿勢が感じられた(但し、重たく濃い作品なので、比較的体調の良いときにご覧になることをおススメします)。★4.0

フレッシュ・デリ
2003 デンマーク 洋画 ドラマ
作品のイメージ:笑える、ほのぼの、切ない
出演:ニコライ・リー・カース、マッツ・ミケルセン、リーネ・クルーセ、ボディル・ヨルゲンセン

マッツ・ミケルセン目当てで鑑賞したものの、ファンの心境としては微妙な作品。本作では、ネチネチした性格で汗かきの嫌われ者役を演じているマッツ。「007 カジノ・ロワイヤル」のル・シッフル役を思い出すと、あまりの違いに圧倒されたというか、度肝を抜かれたというか・・(本作の方が007より古いのですが、先に007を観ているもので)。しかし、「デンマークで最もセクシーな男」に選ばれた後、敢えてこの役を演じた彼の役者魂に拍手を送りたい(それも、わざわざ頭の前頭部を剃って半ハゲにして・・トホホ)。まぁ、ルックスをかなぐり捨てて演技力で勝負をかけたマッツの意気込みは素晴らしい・・ということで満足することに。

マッツ・ファンとしての感想はさておき、内容は結構おもしろかった。「ブラック・コメディー風の残酷ホラー」と日本版予告編で紹介されているが、全くホラーじゃない。また、グロい系でもない(私はもともとスプラッターものとかはダメなのですが、本作は全然OKでした)。観た後なぜか爽快感があり、「ブラック・コメディー風のヒューマン・ドラマ」といった感じ。子供の頃から嫌われ者のスヴェン(マッツ・ミケルセン)とヤク中のビャン(ニコライ・リー・カース)は、働いていた肉屋を辞めて二人で独立する。しかし、オープンした店は、閑古鳥が鳴いている状態。そんな中、スヴェンは誤って人を冷凍庫に閉じ込めて凍死させてしまう。スヴェンはパニックに陥り、証拠隠滅のためにその人肉でマリネをつくる。そして、そのマリネをお客さんに売ったところ、店は大繁盛してしまうといったストーリー。

普通こんなストーリーを聞いたらホラーかスプラッターものかと思うが、くどいようだけどブラック・ユーモアがスパイスのように効いたヒューマン・ドラマ。それに、スヴェンが恐ろしい殺人鬼ではなく、なんだかかわいく愛おしく思えてしまうから不思議(ファンの欲目ではありませんぬ)。英題は、“The Green Butchers”(緑の肉屋)。ラストのオチも、観客をほのぼのとした気分にさせてくれる。人間不信で、奥さんにも愛想を尽かされ、人に嫌われてばかりのスヴェンは自分がつくったマリネでお客さんが喜んでくれたことで、目を輝かせて喜ぶ・・スヴェンの笑顔が切ない音楽とマッチして、観ている方は泣き笑いの境地に。スヴェンがだんだんエスカレートしていく様子も、クスッと笑える。寓話的なセンスも加わり、スヴェンと他の登場人物に愛着が湧いてくるような感覚が。

スヴェンが「汗っかき」と何度も罵られるのだが、デンマークでは汗かきは嫌われ者の象徴なのかしら・・と思ってしまった(そう言えば、マッツの顔が常にテカってました)。海岸で遊ぶシーンでは、ビーチ・ボールを抱えて猫背にしてわざと自分の肉体美を隠しているマッツ(と、どうしても、マッツ・ネタになってしまって恐縮です)。ビャンとビャンの双子の弟(アイギル)を演じるニコライ・リー・カースは、「しあわせな孤独」「ある愛の風景」にも出演しているデンマーク映画では御馴染の顔。スヴェン、ビャン、アイギルの三人の男性に、墓場で働いている女性アストレッドが加わり、奇妙な人間模様が展開される。アストレッド役の女優さんも、エキセントリックな独特の雰囲気を出している。

個人的にはこういった作風は嫌いではないし、作品のレベルは高いと思う。しかし、中にはこの感覚についていけない方もおられるかもしれないし、好みが分かれるものかも(人肉を食べても、ほのぼのと終わってしまうの〜?!という方には、無理です)。という訳で、★3.4
ドッグヴィル

2003 デンマーク 洋画 ドラマ
作品のイメージ:切ない、怖い
出演:ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、クロエ・セヴィニー、ローレン・バコール

プロローグと9つの章で構成されたドラマ。最初は、このセットで延々3時間もあるの・・?とちょっとウンザリ。プライヴァシーのない閉鎖された村。万人に好かれるなんて無理だ。そうなるよう頑張ったら、自分自身が崩壊してしまう。みんな自分だけを愛してほしい、でもそんなことに応えられるわけがない。

嫉妬、欲、そして集団からはみ出さないための保身・・・その果ての弱い者苛め、利用、裏切り、そして復讐。人間の弱さと傲慢さが、これでもか、これでもかと描かれている。人間は不安を抱えて生きている、だから弱い。そんな人間が集まった集団の醜さを、ドッグヴィルが象徴している。なので、ドッグヴィルは、どの社会にもあり得る「村」なのだ。

正直、最後まで観るのがキツイ作品だった。でも、エンドロールにもメッセージが込められていたので、最後まで観て正解!(★3.5くらい・・でも、「そんなのは現実社会だけでたくさん、映画は楽しくなきゃ」という方にはおススメできません。)
ゴシカ

2003 アメリカ 洋画 ホラー ミステリー・サスペンス
作品のイメージ:ドキドキ・ハラハラ
出演:ハル・ベリー、ペネロペ・クルス、ロバート・ダウニー・Jr、チャールズ・S・ダットン

患者を診察していた側の臨床心理士が精神科病棟に入院させられるというストーリーに関心がありレンタルした作品。

女子刑務所の精神科病棟に勤務する理知的な臨床心理士ミランダ(ハル・ベリー)は、客観的かつ冷静に女囚クロエ(ぺネロぺ)を診察している。そこで、クロエがミランダに「自分のことをわかってほしいが、誰もわかってくれない」と涙ながらに訴えるシーンは印象的(ぺネロぺのこういう役どころは珍しいのでは・・?)。

これはホラーではなく、完全なサスペンスだと思う。しかも、ゴシック・ホラーという前ぶれはいかがなものか。「ゴシカ」はgothic(陰鬱で気味の悪い/野蛮な)場所という意味で、ゴシック・ホラーと言うと18−19世紀頃に流行した怪奇小説みたいな印象を与えるのでちょっと違うのかなと。

ミランダが一度は患者の立場に一度は立つ経験をしたことで最後にはクロエを理解し、彼女を病棟から明るく送り出すシーンもいきなりなハッピー・エンドでしっくりこない。この画面の暗さ、オドロオドロしい舞台設定、陰鬱さ、ミランダの苦痛、で観る者を思いっきり暗い世界にひっぱっておいて、最後になって観る者の手をパッと振り払っているような感じ。

いま一つすっきりしない点においてはディカプリオの「ザ・ビーチ」と丙丁つけがたいが、ハル・ベリーのどんどん錯乱に陥っていく演技はさすがということで、ギリギリ☆2つ。

この作品から、ロバート・ダウニー・Jrを意識してみるようになった。
イン・ザ・カット

2003 アメリカ 洋画 エロス
作品のイメージ:ドキドキ・ハラハラ
出演:メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ケビン・ベーコン、ジェニファー・ジェイソン・リー

女性側から描いた官能ということなのか、男性にはイマイチなのかもしれない。

直感的に危険を感じながらも、刑事(マーク・ラファロ)にどんどんのめり込んでいくヒロイン(メグ・ライアン)。理性では止めることができずに、欲望がエスカレートする様がよく表わされていると思う。

ニコール・キッドマンの十八番の役では・・?でも、なぜかキッドマンが制作側にまわている。しかも、元ラブコメの女王メグ・ライアンがこの役・・?どういうことなのかよくわからないが、キッドマンで検索してこの作品に出合えてよかった。

猜疑心と愛欲が表裏一体となった渦に巻き込まれていく。でも、もうその渦から脱出することはできない。その渦の中心まで行って、彼に直面するしか。

客観的に観たら、途中で犯人の見当はつくのだが、彼女は既にその理性を失ってしまっているのだろう。
ダンス・レボリューション

2003 アメリカ 洋画 青春 ラブロマンス
作品のイメージ:かわいい、カッコいい
出演:ジェシカ・アルバ、メキー・ファイファー、リル・ロミオ、ジョイ・ブライアント、ミッシー・エリオット

青春ダンス映画にありがちなストーリーだが、振り付けと音楽がかなり良いのとジェシカ・アルバがなんと言ってもカワイイ!

特典映像にミュージック・ハイライトやダンス・ワークショップが収録されているので、作品を観終わった後に気に入ったダンス・シーンを特典映像で楽しむこともできる。

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